Research Abstract |
本研究の目的は,まちづくり地域における地域空間像の特性と形成プロセスを明らかにし,そのまちづくりへの効果を明らかにすることにある。平成17年度はその研究実施計画に対応して,以下のような知見を得た。 1.市民まちづくり活動史把握のための年表作成:全国・兵庫県レベルのまちづくり動向に関する既往研究の再整理,関連資料をもとに兵庫のまちづくり活動を中心とした年表を作成した。その際時代的区分を(1)始動期,(2)発展期,(3)復興まちづくり期,(4)展開期として示し,市民まちづくり活動の各期の特性を明確にした。 2.まちづくり単位(組織・地区)の時系列的性格分析:既存資料をもとに,兵庫県下のまちづくり単位を年表の年代区分ごとに位置づけ,活動の動機,地区の課題,組織結成の経緯,組織と活動状況,活動のテーマ,適用制度,活動成果,および年次的変化と活動過程を分析し,空間像データベース作成の基礎資料とした。 3.空間像データベースの作成と地域空間像の形象的分析による類型化:上記をもとにまちづくり単位ごとの地域空間像を収集し,空間像データベースを作成した。そこから,空間像のテーマとそれが表す内容,スケール,目標,制度,表現形式から,地域空間像の類型化を行った。その結果,その性格を規定する6つの類型を得た。 4.地域空間像の形成プロセスに関する調査・分析:上記の類型を考慮し,旧居留地地区,新在家南地区,新長田駅北地区東部,野田北部地区を抽出し,ヒアリングおよび地域住民を対象とするアンケート調査によって地域空間像の形成プロセスに影響する諸要因の分析を行った。その結果,まちづくり活動内容,地区の歴史的背景(歴史的要素),着眼点,重要視する要素などが空間像形成プロセスに影響を与えており,特に歴史的背景と,形成時における空間像の要素の変化が大きく空間像の成立,認知,評価に影響を及ぼしていることが分かった。
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