2007 Fiscal Year Annual Research Report
脱施設化に向けての「民家改修型」痴呆性高齢者グループホームの可能性に関する研究
Project/Area Number |
17560555
|
Research Institution | Osaka City University |
Principal Investigator |
横山 俊祐 Osaka City University, 大学院・工学研究科, 教授 (50182712)
|
Keywords | 認知症高齢者 / グループホーム / 民家改修 / 重度化 / 個室廻り / 共同空間の分散 / 生活の場 / 住宅らしさ |
Research Abstract |
改修型・新築型の認知症高齢者グループホーム(以下GH)を対象に、重度入居者(自立歩行困難者)の生活行動、介護方法の特性を明らかにし、それを踏まえた建築計画のありようについて検討した。調査は熊本県・大阪府内において個室の開放性や建築形態の多様性、LD空間の広さや位置など、空間構成の異なる民家改修型3施設、新築型5施設を選定し、入居者・職員の過ごし方・介護方法を午前9時〜午後5時の間で観察記録した(調査期間:2007年7月〜2008年2月)。 1.重度入居者の過ごし方と介護方法の特性 一過ごし方の特性:重度入居者は、自由な移動が困難で、また見守りや介助の必要性が高いために、居場所が居間・食堂、あるいは個室に限定、固定化されるとともに、個室滞在が長くなる傾向にある。人(過ごす相手)やコト(生活行為)への関わり方も、限定的、受動的で生活が単調になりがちである。 一介護方法の特性:個室滞在の長い重度入居者の見守りのために、特に、個室と居間、食堂が隔離されている場合には、職員による両室間の頻繁な往来と個室の滯在時間が長くなる傾向にある。 2.重度入居者を踏まえたCH計画のあり方 主体的な生活のためには、重度入居者が空間、他者、活動に容易に関わることできる計画、また職員の居場所や見守りの場所を重度入居者の個室廻りに分散するような共用空間の計画が求められる。具体的には、(1)個室廻りに居場所の計画(2)個室の開放性や他所との連続性(3)外部との開放的な連接性(4)多様な設えを可能にする個室の計画(5)アクティビティや集団を拡散せず、移動負担め軽減につながるような広さを抑制した共用空間(6)車椅子と伝え歩きが両立するよう廊下の幅員の抑制(7)ターミナルケアへの家族参加を考慮した畳仕上げの広めの個室、続き間のある個室、複数のアクセスが可能な位置などが重要である。 生活の質を視点に、ますますの増加が予想される重度認知症高齢者の生活の場として改修型GHの優位性と新築型GHの課題を析出し、日常生活の場としてGHに求められる「住宅らしさ」を可能とするような新たな計画指針を提示し得た。
|
Research Products
(3 results)