2006 Fiscal Year Annual Research Report
イギリスの開発トラストにみる「財政自立」の過程に関する研究
Project/Area Number |
17560557
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
西山 康雄 東京電機大学, 工学部, 教授 (10024332)
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Keywords | まちづくり事業体 / 社会的企業 / アセット・マネージメント |
Research Abstract |
まちづくり事業体(まちづくりトラスト)が、長期、安定的、しかも独自の判断でまちづくり、福祉サービス、雇用促進などの活動に取り組むためには、「財政自立」が最も重要であるといわれる。 しかし、商業地、駐車場経営などから確保できる収入に比し、一般住宅地の経営から、長期に安定的に収入を得ることは難しい。これまで筆者は、土地を初期に住宅地価格で入手できたコイン・ストリート事業、都市高速道路下を利用した一大福祉センターの経営=ウェストウェイ開発トラストなどを扱ってきた。しかし、住宅に関するユニークな事例としてエルドニアン・ビレッジを2年目も取り上げ、積極的な外部事業化への取り組みを考察した。 イギリスのリバプールで、住宅地経営を核に、財政自立を達成し、東ヨーロッパ、第三世界などからも、その高い実績が評価されている事例として、エルドニアン・ビレッジがある。 分析全体は、つぎの6章構成とし、その概要を記す。 1 リバプールの都市再生が始まった 1970年代深刻な社会経済問題に直面していたリバプールが、いま再活性化しつつある現況を描く 2 社会的企業が居住地を自主管理する インナーエリア再生のエンジンは「社会的企業」という。この定義を紹介し、「第三の手法」と位置づける 3 エルドニアン・ビレッジを踏査する 2005年夏の現地調査を中心にまとめた 4四半世紀の歴史をレビューする 1970年代の「スラム・クリアランス→郊外分散→コミュニティの破壊」という図式に反対した住民が協議会を結成し、リバプール市の自治体政治に巻き込まれる中で、いかにコミュニティ・ベースト住宅協会を中心に結束し、住宅地と関連複合施設の建設と経営、そして基本的な「財政自立」を達成したか、その歴史を分析。 5エルドニアン事業体の経営組織としての特徴をまとめる 6まとめ:市民セクターによる、リバプールの他地区への応用可能性を検討する
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