2006 Fiscal Year Annual Research Report
既存学校施設の有効活用と今後の整備手法に関する研究
Project/Area Number |
17560558
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Research Institution | Tokyo Denki University |
Principal Investigator |
吉村 彰 東京電機大学, 情報環境学部, 教授 (60057255)
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Keywords | 既存の学校施設 / 長期修繕計画 / 維持管理の実態 / 積算 / 修繕周期 |
Research Abstract |
平成17年度(研究初年度)では、小・中学校施設に実際掛かった建物の維持管理費用(平成14・15年度)、特に、修繕およびメンテナンスの費用実績について全国の自治体を対象にアンケート調査を行い、その実態を明らかにした。 二年目の平成18年度は、具体的な学校の建物竣工時から現在に至る修繕実績を調査し、計画的な修繕計画の有無を確かめた。また、建物の維持管理が法的に整備されている分譲集合住宅と比較しながら学校施設のあるべき建物維持管理手法を検討した。 具体的には、東京のO区における学校施設の維持管理データを調べ、民間の築30年前後経過した集合住宅の維持管理実績とを比較した結果、多くの学校施設は修繕実績が場当たり的であることが分かった。 一方、分譲集合住宅では、管理組合が中心となり長期修繕計画に基づき修繕費用を収集し、周期的に修繕がなされていることを実証した。 そこで、本研究では学校規模30クラス相当、延床面積7,260m^2、地上4階建ての小学校をモデルに、建築(外壁塗装、屋根防水、コーキング・シーリング、鉄部塗装)と給排水設備(給水管の更生・更新、雑排水管の更生・更新、汚水管の更新)の修繕周期を求め、12年を周期とした修繕費用を積算した。また校舎内部仕上の更新を24年目で現状の仕上げと同じに行ったと仮定した、修繕費用を積算、全体で300〜400万程度毎年積立てれば竣工当時の建物状態を維持することが可能であることを求めることができた。 勿論、耐震補強等のような突発的な大規模な修繕経費は含まれないが、現在、各学校の維持管理費用として地方交付税で一校当たり400万円程度積算され、各自治体に交付されているが、必ずしもこの費用が維持管理に回されているとは言い難いが、現実可能な維持費用であることが把握できた。 今後、地方財政の逼迫化とあいまって、30年以上経過したRC造校舎が過半を占める状況では、早急に既存施設の整備に関わる維持管理体制を整える必要がある。その観点から今回得られた積算費用と修繕周期の目安は自治体に参考となろう。
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