2006 Fiscal Year Annual Research Report
不定比化合物シリコン・チタン窒化物の高機能化に関する研究
Project/Area Number |
17560590
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
粕壁 善隆 東北大学, 国際交流センター, 教授 (30194749)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
粕谷 厚生 東北大学, 学際科学国際高等研究センター, 教授 (10005986)
須藤 彰三 東北大学, 大学院理学研究科, 教授 (40171277)
|
Keywords | 不定比化合物 / 窒化物 / 機能性材料 / イオン注入 / その場観察 / 透過電子顕微鏡 / 電子エネルギー損失分光 / 分子軌道計算 |
Research Abstract |
不定比化合物であるチタン窒化物(TiN)を次世代のデバイスに応用するには、組成とともに変わるチタンと配位子との結合状態を明らかにし制御する必要がある。本研究では、反射高速電子回折法によりその場観察のできる超高真空装置中で膜厚100nmのTi薄膜を作製し、その薄膜に窒素イオン(62keVのN_2^+)を注入して、窒化チタン薄膜の成長過程をオージェ電子分光法、電子エネルギー損失分光法、透過電子顕微鏡法などを用いて明らかにした。Tiを蒸着した薄膜にはhcp-Tiの他にTiH_xがhcp-Tiの局所的な原子配列と密接な関係を持って成長していた。TiH_xの窒化ではfcc-Ti副格子の四面体位置の水素が脱離し、fcc-Ti副格子の八面体位置に侵入した窒素がTiと結合してTiN_xが成長した。hcp-Tiの窒化では、hcp-Ti格子の2つの(00・1)面間の局所的な原子配列を引き継ぎながら、隣接する(00・1)面間のTi原子の八面体位置に窒素が侵入することで誘起される原子移動を伴って起こる。すなわち、hcp-Tiの中で広い空隙と高い電子密度をもつ八面体位置の、注入イオンによる占有を端緒としたTi副格子のhcp-fccエピタキシャル変態は、主に注入原子の2p軌道とチタン原子の3d軌道の混成による強固なπ結合的共有結合の形成と注入原子の存在によるチタン原子間の結合の弱まりによって誘起された、(00・1)面内の<01・0>方向へのせん断変形によって引き起こされることを見出した。これらの結果から、イオン注入過程で起こる侵入原子と母格子との化学結合性の相互作用により母格子の原子配列と密接な関係を保ちながら誘起されるエピタキシャル変態過程を、原子レベルで制御することで、α-Sn半導体とAu電極界面の拡散障壁層への応用およびこれまでは合成が困難であったバンドギャップ制御型機能性シリコン・チタン窒化物薄膜等の創製ができるようになると期待される。
|
Research Products
(2 results)