2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17560599
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Research Institution | Sophia University |
Principal Investigator |
板谷 清司 上智大学, 理工学部, 教授 (90129784)
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Keywords | 酸窒化物 / Ca_2Si_3N_4O_2 / Ca_3Si_2N_2O_4 / 合成条件 / 蛍光材料 / 付活剤 / 長波長シフト / 橙色・赤色発光 |
Research Abstract |
青色LEDと組み合わせ可能な新規赤色発光蛍光体を検索するため,本研究ではCa_2Si_3N_4O_2(N/O=2.0)の合成条件を検討し,さらにこの化合物に付活剤として酸化ユウロピウム(Eu_2O_3)を添加して蛍光特性を検討した。また,この化合物の蛍光特性をCa_3Si_2N_2O_4(N/O=0.5)の場合と比較し,蛍光特性に及ぼすN/O比の影響についてもあわせて調べた。 Ca_2Si_3N_4O_2を固相合成するため,出発粉体として酸化カルシウム(CaO ; CaCO_3の仮焼により調製)および窒化ケイ素(Si_3N_4)を選択した。これらの出発粉体を化学量組成になるように混合・成形し,1350-1650℃の種々の温度でそれぞれ2h加熱し,結晶性の良い化合物を得るための加熱条件を調べた。その結果,1550℃以上で2h,窒素気流中で加熱するとCa_2Si_3N_4O_2の単一相が得られ,さらに1600℃,2h加熱した時に最も結晶性が良くなることが分かった。そこで,Ca_2Si_3N_4O_2の固相合成の際に付活剤としてEu_2O_3を添加し1600℃で加熱反応させたところ,融解してしまった。このことから,反応温度を1550℃に下げて加熱し(Ca_<1-x>Eu_x)_2Si_3N_4O_2(x=0.01-0.1)を合成した。X線回折ではEuに関連する生成物が検出されなかったことから,EuイオンはCaサイトを置換していることが分かった。これらの化合物の励起発光スペクトルを測定したところ,青色LEDの465nmの波長を含む幅広いスペクトルが観測された。励起波長はCa_3Si_2N_2O_4(N/O=0.5)の場合よりもN/O比の高いCa_2Si_3N_4O_2の方が長波長側にシフトしたことから,共有結合性の高い窒素原子の存在が励起波長のシフトに影響を及ぼしていることが明らかになった。また,これらの化合物にブラックライトを照射すると橙色〜赤色発光を示したが,発光波長はEu添加量(x)が0.01から0.1に増加すると606から620nmへと長波長側にシフトすることが分かった。 以上の結果から,本研究ではCa_2Si_3N_4O_2の合成条件を明らかにするとともに,Eu^<2+>添加Ca_2Si_3N_4O_2の励起・発光スペクトルが青色発光LEDの465nmの発光を含む幅広い励起によって606-620nmの範囲で橙色〜赤色発光することを明らかにした。
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Research Products
(3 results)