Research Abstract |
本研究では,連続貫通した細孔を有する人工関節,人工骨,人工歯根用医療用多孔性チタンを創製する.ここで,細孔は連続貫通である必要があり,この目的のために生分解性繊維を利用し,これをチタン母材に分散させる.術直後は生分解性繊維が強化相として働くために通常の多孔性チタンと比較して高い強度を有する.また,生体内で生分解性繊維は分解するために,術後ある一定期間を経て連続貫通した細孔を有するようになる.このとき,骨組織が侵入できるため,骨との堅固な力学的結合が見込まれる. 本研究では,母材として純度99.1%,粒子径45μm以下の純Ti粉末を用いた.強化相に用いる生分解性繊維として,PLLA繊維を用いた.放電プラズマ焼結の条件は150℃,5分,50MPaである.これにより,5および15vol%のPLLA繊維が添加した試料を作製した. 焼結の開始は40℃であり,50℃から100℃の間で緻密化が認められた.また,焼結時,150℃で5分間の保持を行ったが,この保持時間内に緻密化が終了することが確認された.作製したTi-PLLAコンポジットは積層構造を有し,その硬度は異方性を示した.しかし,Tiの焼結は不完全であり,温水での分解試験を行ったところ,PLLAの分解と共に試料の崩壊が認められた.これは,焼結温度が低すぎるためと考えられる.医療用チタン基傾斜機能材料への応用のためには,より強度の高い,完全な焼結体の創製が不可欠である. 現在,温度を上げた焼結を行っている.PLLAの融解の問題など,克服すべき課題は残されており,これらを平成18年度の研究により解決する.
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