2006 Fiscal Year Annual Research Report
生分解性繊維強化医療用チタン基傾斜機能材料の創製と材料評価
Project/Area Number |
17560604
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Research Institution | Nagoya Institute of Technology |
Principal Investigator |
渡邉 義見 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (50231014)
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Keywords | 医療用材料 / 生分解性繊維 / 傾斜機能材料 / SPS法 / 磨耗 / 多孔質材料 / チタン |
Research Abstract |
本研究では,生分解性繊維強化チタン基傾斜機能材料の開発を目的とする.生分解性繊維は体内で徐々に分解するため,体内でチタンは多孔性化し,細孔の中に骨組織を侵入させて,堅固な力学的結合をはかることができると考えられる.また,細孔を表面に多く分布するように傾斜化させることにより,強度と生体親和性とを兼ね備えた材料を期待することができる.本研究では,以上の利点を実現することができる生分解性繊維強化チタン基傾斜機能材料を創製し,その生分解性と機械的性質(硬さ,圧縮特性および摩耗特性)を評価する. 平成17年度の研究では,チタン粉末と生分解性繊維であるPLLA(ポリ・L・乳酸)繊維の混合粉末を放電プラズマ焼結法(SPS法)にて焼結し,PLLAを強化相としたTi-PLLA複合材料を開発した.しかし,作製した複合材料のチタン母材が焼結されておらず十分な強度を得ることができなかった.そこで,平成18年度はチタン母材が完全に焼結した多孔性チタンの作製を試みた.チタンと塩化ナトリウムの混合粉末をSPS法にて焼結した.塩化ナトリウムの融点が高いため,比較的高い温度で焼結が可能である.作製したTi-NaCl複合材料中のチタン母相の硬さはHv=200以上と高く,かつ摩耗特性はTi-PLLA複合材料に比べて良好であった.その後,多孔性チタンを得るために,Ti-NaCl複合材料を100℃程度のお湯に投入し塩化ナトリウムのみを溶解した.その結果,塩化ナトリウム溶解後においても材料の破壊は生じなかった.また,得られた試料に対して組織観察を行った結果,チタン母相の焼結が完了しており,多孔性チタンの創製に成功したことが分かった.本手法は,医療用多孔性チタン製造に有効であると考えられる.今後,多孔性チタンを溶けた生分解性材料中に投入し,細孔に生分解性材料を浸透させ,その生分解性と機械的性質を評価する.
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Research Products
(1 results)