2006 Fiscal Year Annual Research Report
繊維強化および粒子分散強化高分子複合材料のX線高温その場応力測定
Project/Area Number |
17560607
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
西田 真之 神戸市立工業高等専門学校, 機械工学科, 助教授 (80332047)
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Keywords | X線応力測定 / 透過法 / 繊維強化高分子材料 / 高温その場測定 / 応力評価 |
Research Abstract |
高密度ポリエチレン(HDPE)を母材とし,タングステン繊維で強化した繊維強化材料内部の力状態をX線応力測定法を用いて評価した.X線応力測定法は非破壊非接触で金属,材料表面の応力評価が可能であり,測定手法としてはsin^2Ψ法が一般的に知られている.しかしながら,本研究の目的である高分子材料の応力評価においては金属材料とは異なり,X線の回折線ピークが低回折角側に出現しsin^2Ψ法の適用が極めて困難となる.その理由は低角側ではピークシフトより求めるひずみ感度が悪くなること,および応力測定時に必要なオフセット角度を十分確保できないためである.このような理由から高分子材料のX線応力測定は実現が難しいと考えられてきた. 本研究においては,これらの問題点を克服するために透過回折線を用いたsin^2Ψ法を適用した.本来X線の金属材料に対する透過力は小さく,応力測定の適用範囲は材料表面に限定される.このため,金属材料においては反射回折線を用いるのが通常の手法である.しかしながら,高分子においてX線は金属に比べて非常に透過しやすいため透過回折線の利用が可能となり,透過した内部領域の平均応力を評価することができる. 測定の結果,外部からの負荷荷重に対してX線で測定した応力状態は良い一致を示し,その測定精度も良好であった.繊維強化材料中の応力状態は繊維直行方向に対して圧縮の残留応力,繊維長手方向に対して引張の残留応力が発生していることが確認された.また,ヒータ内で加熱状態の応力を測定した結果,雰囲気温度と共に応力値は変化し,また,高温下においては高密度ポリエチレンの結晶化度が低下することから測定精度も低下することが確認された. さらに,高分子材料は負荷応力に対するひずみが金属の100倍程度大きく,低回折角度に出現するピークを用いても応力評価が十分可能であることが確認された.
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Research Products
(2 results)