2006 Fiscal Year Annual Research Report
鉄合金レンズマルテンサイトの晶癖面の決定と界面微細構造の解明
Project/Area Number |
17560617
|
Research Institution | KYOTO UNIVERSITY |
Principal Investigator |
牧 正志 京都大学, 工学研究科, 教授 (10026247)
|
Keywords | マルテンサイト / 晶癖面 / 界面微細構造 / レンズマルテンサイト / ラスマルテンサイト / 薄板状マルテンサイト / 格子不変変形 / ミドリブ |
Research Abstract |
前年度と同様に、レンズマルテンサイトの内部微視組織観察および晶癖面の決定と界面の微細構造観察を行った。前年度はMs点の低い界面が平滑なレンズマルテンサイトを呈するFe-33%Ni合金(Ms=171K)を用いたが、本年度は,Ms点が高く界面が不規則に凹凸状を呈するレンズマルテンサイトが生成するFe-30.5%Ni合金(Ms=223K)について研究した。さらに、マルテンサイトの形態および内部微視組織に及ぼす変態時体積変化とマルテンサイトの正方晶性の影響について系統的に調べた。得られた主な結果は以下の通りである。 1.Ms点が高くなるとレンズマルテンサイトの界面の形状が凹凸状に不規則になり、{225}面に近いファセットをもつ傾向が強くなる。この{225}面は、ラスマルテンサイトの晶癖面と同じである。 2.界面が複雑に凹凸状になったレンズマルテンサイト(Fe-30.5%Ni)の界面の微細構造を高分解能電顕で観察した結果、平滑な界面を有するレンズマルテンサイト(Fe-33%Ni)と同様に、異なるバーガースベクトルを持つ2種類のらせん転位から構成されていることが明らかになった。 3.マルテンサイトの形態が変態温度が低下するにつれてラス→レンズ→薄板状と変化するが、その遷移温度は、マルテンサイトの正方晶性が大きくなるほど、および変態時体積変化が小さくなるほど高温側へ移行することが明らかになった。 4.上記一連の研究により、鉄合金のマルテンサイトの形態が様々に変化する理由は、変態時の変態ひずみの緩和(格子不変変形)の様式の変化に起因することが明らかになった。っまり、格子不変変形が双晶変形なら薄板状になり、すべり変形ならラスマルテンサイトになる。レンズマルテンサイトは、格子不変変形が変態途中で双晶変形からすべり変形に変化する。それゆえ、レンズマルテンサイトは変態初期に対応するミドリブ近傍は内部組織や結晶学的特徴が薄板状Mと同じであるが、変態後期に対応する外周部ではラスMの特徴を有する。
|
Research Products
(2 results)