2006 Fiscal Year Annual Research Report
環境優先型アルミニウム化学研磨法による表面皮膜のナノ構造解析
Project/Area Number |
17560641
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Research Institution | Musashi Institute of Technology |
Principal Investigator |
吉田 明 武蔵工業大学, 工学部, 助教授 (70257103)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新藤 恵美 武蔵工業大学, 工学部, 技士 (60398899)
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Keywords | アルミニウム / 環境優先型 / アルカリ性 / 化学研磨 / 皮膜 / ナノ構造 / EELS / ナノインデンテーション |
Research Abstract |
17年度の結果からそれぞれの研磨溶液によるアルミニウム表面皮膜はアルカリ研磨皮膜が酸性研磨皮膜より厚く、密度は低いが水酸基が多く存在すると解釈した。また研磨表面に出現する網目状組織は、素地の結晶粒とは直接関係がないことがわかった。さらに研磨皮膜表面の網目状組織の大きさ、凹凸の状態、凹凸の高低差などが、光学反射特性(周波数)に大きく関係することがわかった。 ○酸性溶液とアルカリ性溶液の研磨機構の相違と皮膜のナノ構造解析のための分析・解析 18年度はさらに詳しく酸性溶液とアルカリ溶液の研磨機構の相違と皮膜のナノ構造解析のために、主にEELS(電子線エネルギー損失分光)およびナノインデンテーション法等を用いた解析を行った。 TEMに搭載された軽元素に対して高感度で位置分解能が高いEELS(電子線エネルギー損失分光)を用い皮膜の組成を分析した結果、両皮膜ともにAl_2O_3-Al(OH)_3-Al_2O_3の3層ナノ構造であることがわかった。さらに酸性研磨皮膜は表面層から3nm程度より約6nm前後の厚さでAl(OH)_3が存在し、その割合は皮膜厚さの半分程度のあることが確認された。一方、アルカリ研磨皮膜はAl(OH)_3が表面層から8nm程度から奥に存在し、その厚さは酸性研磨の皮膜の場合より薄く約2〜3nm程度の厚さしかなかった。これら皮膜の3層ナノ構造は最新のEELS法による世界初の結果である。 ナノインデンテーション法により、皮膜の硬さやヤング率の違いを検証することを試みた。その結果、皮膜はアルミニウム素地より硬く、研磨法により皮膜の厚さが異なることは今までの結果と一致するが、17年度のXPSの測定結果で得られた両皮膜の硬さの差は、ナノインデンテーション法では得られなかったことから、さらなる検討が必要である。 ○皮膜のナノ構造解析と反射光波長特性の関係の検討 研磨表面の光学反射特性(周波数)は研磨面の網目状組織の大きさや凹凸の状態などが関係するとが、これまでにわかっているが、紫外線領域の反射率特性が3層ナノ構造や皮膜厚さに関係する特性であるかは現在検討中である。
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Research Products
(4 results)