2005 Fiscal Year Annual Research Report
射出成形可能なリサイクル木粉入り生分解性プラスチックの開発
Project/Area Number |
17560642
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
山部 昌 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70288265)
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Keywords | 射出成形 / 撥水性 / 生分解性樹脂 / 木粉 / 表面コーティング / 柿渋 / 混錬性 / 凝集性 |
Research Abstract |
リサイクル木粉は窒気中の水分を吸収しやすく。このため複合化すると木粉同士が凝集し、機械的性質が極端に低下する。またその水分の影響で生分解性樹脂が容易に加水分解される。これらのことは今後の工業化には大きな障害である。ここではこの問題を解決するために、天然素材である柿渋を木粉にコーティングを行い、撥水性を付与した。この効果を確認するために、3つのサンプルで比較検討した。1つは未処理の木粉、2つ目は80℃で5時間乾燥させたもの、3つ目は80℃で5時間乾燥させた後、前述の柿渋をコーティングしたものである。それらを同量の割合で生分解性樹脂にブレンドし、射出成形を行いサンプルを得た。その結果、柿渋コーティングは未処理木粉に比べて、約30%の機械的性質(強度・弾性率)の向上、乾燥木粉に対しても約20%の向上が見られた。これらのサンプルをSEMにて観察した結果、この機械的特性の差異は、木粉の分散性と相関があることがわかった。即ち未処理木粉は水分の影響で、木粉同士が凝集し、いわゆるダマが生じていることがわかった。一方、乾燥木粉や柿渋コーティング木粉では、そのような凝集は観察されなかった。このことは柿渋の存在により、木粉表面が完全にコーティングされ、その結果水分の出入りがなくなるというメカニズムが発現した結果と考えられた。これらの結果を踏まえ、乾燥条件、コーティング条件、射出成形条件の変化による、機械的特性の変化を定量的に求めようとしている(次課題)。一方、柿渋コーティングによる生分解性プラスチックの紫外線による劣化を、屋外暴露試験により評価を行っている(現在取り組み中)。これらのことにより、木粉、生分解性樹脂、柿渋とすべてが天然素材のプラスチックの製品化に対して、大きな成果を得られたと考える。
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Research Products
(2 results)