2006 Fiscal Year Annual Research Report
射出成形可能なリサイクル木粉入り生分解性プラスチックの開発
Project/Area Number |
17560642
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Research Institution | Kanazawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
山部 昌 金沢工業大学, 工学部, 教授 (70288265)
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Keywords | 射出成形 / 生分解性樹脂 / 樹脂流動解析 / そり変形 / 界面接着 / リサイクル / 廃木材 |
Research Abstract |
前年度では、木粉の分散性を向上させ、樹脂材料との接着性を向上させるための様々な取り組みを行った中で、最も効果の高かった、柿渋を用いた木粉表面の処理方法をさらに詳細に検討した。その結果、柿渋処理することにより、木粉表面では撥水性が発現することが明らかになった。さらに、木粉への水分吸着も減少させることができ、この処理方法が最も有効であることを確認した。次に実部品での成否を確認するために、本材料系によるペレット製造を試みた。これには前述の柿渋にさらには分散性を向上させうる潤滑剤をも用いた。このようにして得られたペレット材料を用いて、実成形を行った。その際、成形条件等は事前に射出成形流動シミュレーションを行い、圧力・温度・粘度を考慮した最適な成形条件にて行った。その結果、通常のPP材料とほぼ等価な機械的特性を持つことを確認した。またその成形品より採取した試験片形状にて、引張試験を実施した。引張破断後の断面を電子顕微鏡を用いて観察したところ、木粉が樹脂と十分に接着しており、樹脂の母材破壊が見られた。このことより、実成形においても、本材料系の有効性が確認できたと判断する。 将来の適用拡大を鑑み、CAE解析を行うための、本材料系の材料データベースの取得にも力を注いだ。とくにその中でも木粉を含む樹脂材料系の粘度予測である。元来樹脂材料は非ニュートン性の粘度挙動を示す。すなわちひずみ速度が増加すると、見かけの粘度が減少する挙動である。この挙動を予測するために、実験式として提案されている5定数粘度式に本材料系の粘度を表現した。その結果、射出成形過程における木粉と樹脂材料系との複合流れを精度よく表現できた。この粘度式を用いて、金型内を流動する材料のせん断力を定量化することができた。そのせん断力の時間変化データを用い、前述の木粉による強度向上のメカニズム発現を定量的に考察することができた。
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Research Products
(4 results)