2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体を用いた環境調和型のレアメタル分離回収システムの開発
Project/Area Number |
17560662
|
Research Institution | KYUSHU UNIVERCITY |
Principal Investigator |
久保田 富生子 九州大学, 大学院工学研究院, 助手 (60294899)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
後藤 雅宏 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (10211921)
|
Keywords | イオン液体 / 分離 / 抽出 / レアメタル / 抽出剤 / 界面 / 環境 / 液膜 |
Research Abstract |
本研究の目的は、イオン液体を分離媒体に利用した環境調和型の新しいレアメタル分離回収システムを構築することである。 イオン液体は、有機性の陽イオンと有機、無機性の陰イオンから成る溶融塩で、両イオンの組み合わせによりその物性を変化させることができる。そこで、まず、陽イオンとしてイミダゾリウムに種々置換基を導入し、これに陰イオンを組み合わせることにより、さまざまなイオン液体を合成した。イオン液体の物性と抽出挙動を検討し、目的に適合するイオン液体の分子設計と合成の基礎的指針を得ることができた。 市販のCMPOを抽出剤として、疎水性イオン性液体への希土類金属の抽出を行った。その結果、従来の抽出系に比べ、CMPOの抽出能力が格段に上がるばかりではなく、金属間の相互分離性能も向上させることができた。難しかった金属の逆抽出も、回収相に錯化剤を用いることにより成功した。イオン液体が繰り返し使用できることを証明し、イオン液体の抽出溶媒としての利用を可能にした。 新規抽出剤(TPEN)を用い、錯化剤を用いた複雑な系によらず、pHコントロールのみで容易に抽出・逆抽出を行うことのできる抽出系を開発した。 すべての抽出系の抽出挙動を詳細に検討することにより、イオン液体系特有の抽出のメカニズムを明らかにし、プロセス設計の指針を得た。 さらに、イオン液体に目的分子との錯形成能力を有する官能基を付与することにより、自身が抽出能力を有するイオン液体(機能性イオン液体)による抽出系の開発を試みた。機能性イオン液体は、抽出剤を溶解したイオン液体と同様の抽出挙動を示し、イオン液体のみによる抽出も可能となった。 本研究では、イオン液体の特性を生かして、これまでにない高効率のレアメタル分離回収システムを構築するための基礎的な知見が得られた。
|
Research Products
(6 results)