2006 Fiscal Year Annual Research Report
イオン性液体を用いる分離を伴う新規反応プロセスに関する研究
Project/Area Number |
17560670
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
松本 道明 同志社大学, 工学部, 教授 (10157381)
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Keywords | イオン液体 / 分離プロセス / 液膜 / 膜分離 / 抽出 / 光学分割 / 全細胞生体触媒 / 有機酸 |
Research Abstract |
イオン液体を用いた新規なバイオプロセスおよび分離プロセスの開発を目的として研究を行い,本年度は次のような成果を得た. 1.乳酸発酵へのイオン液体の応用 揮発性有機溶媒を利用した乳酸発酵は数多く研究されているが,本研究では不揮発性・不燃性といった性質をもつイオン液体のその代替溶媒としての可能性を検討した.最初にイオン液体Cyphos IL-101およびAliquat 336の抽出能を検討し,それぞれ有機酸に対して高い抽出能を示したが,乳酸菌に対して強い毒性を示した.そこで本研究では次にイオン液体含浸膜による発酵有機酸の分離を試みた.発酵乳酸の分離において,PVDF膜にcyphos IL-101を含浸させたことから,イオン液体と乳酸菌の直接の接触を避けることができたため,イオン液体は毒性を示さなかった. 2.イオン液体中の全細胞生体触媒を用いたエポキシドの光学分割 生理活性物質の中間体として重要であるラセミ体のエポキシドの選択的加水分解による光学活性ジオールの生成にイオン液体を使用した二相系反応を用いることを検討した.内在するエポキシド加水分解酵素を高発現することが知られているRhodotorula glutinis ATCC 201718を用いて,エポキシヘキサンの加水分解を行ったところ,酵素精製することなしに全細胞の状態で(R)-体のエポキシドに対して高いエナンチオ選択性を示すことを見出した.高い基質濃度では有機溶媒を超える高いエナンチオ選択性を示し,また最も疎水性で最も粘度の低いイオン液体Tが反応性も高く,非常に高いエナンチオ選択性を示すことを明らかにした.
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Research Products
(3 results)