2006 Fiscal Year Annual Research Report
電気化学反応における金属の酸化還元電位の密度汎関数法による算出
Project/Area Number |
17560684
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Research Institution | Kyoto Institute of Technology |
Principal Investigator |
小林 久芳 京都工芸繊維大学, 工芸科学研究科, 教授 (40128690)
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Keywords | 標準酸化還元電位 / 密度汎関数法 / Born-Harberサイクル |
Research Abstract |
本課題研究では、電気化学における基本的な量である標準酸化還元電位(Standard Redox Potential ; SRP)を密度汎関数法(DFT)計算から算出することを試みた。[Fe(CN)_6]^<3->+e^-→[Fe(CN)_6]^<4+>などの錯体の価数の変化におけるSRPの値は、溶媒効果を考慮した計算から求めることができるが、金属のイオン化傾向に対応する、金属から金属イオン(M→ne^-+M^<n+>)へのSRPの値を計算するために、Born-Harberサイクルを用いた方法を考案した。この過程はBorn-Harberサイクルを用いて、(1)固体から原子となる際の昇華または凝集、(2)原子のイオン化、および(3)イオンに水分子が水和された錯体を形成するときの水和エネルギーの3つに分割される。本研究で扱ったイオンはSHEの実験値が増加する順に、Li^+, K^+, Ca^<2+>, Na^+, Mg^<2+>, Al^<3+>, Ti^<2+>, Mn^<2+>, Zn^<2+>, Cr^<3+>, Fe^<2+>, Co^<2+>, Ni^<2+>, Fe^<3+>, Cu^<2+>, Cu^+, Ag^+, Pd^<2+>, Pt^<2+>, Au^<3+>, Au^+の21種類であり、SHEの実験値と計算値のずれを表す標準偏差は0.20〜0.27Vであった。 この方法は、Ag錯体のように還元体が価数ゼロになるような場合にも適用できる。3つのAg錯体、[Ag(NH_3)_2]^+、[Ag(CN)_2]^-、[Ag(S_2O_3)_2]^<3->のSRPを評価した結果、実験値と0.3V以内の誤差で一致した。
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Research Products
(1 results)