2005 Fiscal Year Annual Research Report
膵島移植療法実現のための、膵島調製・体外培養技術の確立
Project/Area Number |
17560687
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Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
寺田 聡 福井大学, 工学部, 助教授 (60311685)
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Keywords | 糖尿病 / インスリン / 膵島 / インスリノーマ / 足場 / 血清 / 凍結保存 / セリシン |
Research Abstract |
近年、糖尿病の根治的治療法として「膵島移植」が期待されているが、ドナー不足が深刻である。そこで、インスリン分泌細胞の供給源として、1)膵島細胞を培養して増幅する、2)インスリノーマなど株化細胞を機能強化する方法が考えられる。さらに、3)得られた膵島を凍結により長期保存する技術も重要だ。 【I.膵島細胞に有効な体外培養法】膵島細胞供給法として、ドナーから単離した膵島細胞を培養し増幅する方法が考えられる。しかし、膵島のままでは増殖しないため、膵島を個々の細胞に分散させ、単層培養中に何らかの方法で増殖を誘導した後、膵島様構造体を形成させる方法が考えられる。本研究では単層培養時の細胞の足場に着目し、膵島細胞に有効な足場を検索した。続いて、各足場上で培養した細胞から膵島様構造体を形成させ、単層培養時の足場が構造体形成に影響しないか検討した。 【II.インスリノーマの細胞機能を強化】株化細胞は機能が低下している。そこで、本研究ではインスリノーマを対象として、三次元培養による機能向上を目指した。三次元培養の足場として竹澤により開発されたコラーゲンゲル薄膜に着目し、膵臓の組織構造の模倣を目指し、コラーゲンゲル薄膜の表面に膵島細胞を、裏面に線維芽細胞を培養する両面培養を行い、インスリノーマの機能強化を達成した。 【III.膵島の無血清凍結技術】現在のところ、細胞凍結保存液には、主としてウシ胎児血清(FBS)にジメチルスルホキシド(DMSO)を添加したものが用いられている。しかし血清には未知ウイルスやBSEなどの感染の懸念がある。そこで凍結保護剤として、絹由来のタンパク質セリシンに着目し、高性能な無血清凍結液を開発した。ラット膵島を液体窒素中で1ヶ月間凍結したところ、セリシン凍結液で凍結された膵島は、FBS凍結液を上回るグルコースに応答したインスリン分泌を発揮し、凍結前と同程度であった。
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Research Products
(3 results)