2006 Fiscal Year Annual Research Report
分子インプリント法を用いた蛋白質のリフォールディングおよび耐熱化システムの構築
Project/Area Number |
17560692
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
春木 満 日本大学, 工学部, 助教授 (30273593)
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Keywords | 分子インプリント法 / リフォールディング / 組換え蛋白質生産 / リゾチーム / ペプシン / リボヌクレアーゼHI / 蛋白質耐熱化 |
Research Abstract |
当該研究では,分子インプリント法を応用して,蛋白質のリフォールディングの促進および耐熱化蛋白質のセレクションを行うことを目的とする。今年度は,卵白リゾチームおよびペプシンに対する分子インプリンティングポリマー(MIP)の作成を行い,リフォールディング促進効果を解析した。また,大腸菌リボヌクレアーゼHI (RNase HI)に対してMIPを作成し,変性した蛋白質と構造を形成した蛋白質のMIPへの吸着能の差を利用した耐熱化蛋白質の探索法の開発を目指した。 MIPは各蛋白質にアクリルアミド誘導体およびビスアクリルアミド誘導体を加えて重合させることにより作成した。リゾチームに対して作成したMIP存在下において変性還元リゾチームのリフォールディングを行い,活性の回復を測定した。その結果,MIPを加える量の増加に伴いリフォールディング率も増加し,最終的に約90%のリフォールディングがみられた。これに対し,リゾチーム無添加条件下で作成したnon-MIPを加えてもリフォールディングはみられなかった。従って,MIPが変性還元リゾチームと特異的に結合し,リフォールディングを促進したと考えられる。一方,同様に変性還元ペプシンのリフォールディングを行ったところ,CDスペクトルはほぼネイティブ状態と同様のところまで回復したが,活性の回復は15%にとどまった。従って,正しくリフォールディングした分子の割合は少ないと考えられる。さらに,RNase HI耐熱化変異体のMIPへの選択的結合実験を行った。野生型,変異体混合蛋白質溶液を調製し,50〜65℃の範囲で加熱したところ,室温では両蛋白質ともMIPとの結合がみられたが,加熱温度60℃以上においては,変異体のみ結合がみられた。従って,熱変性しない変異体のみがMIPが選択的に結合することが示された。
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