2005 Fiscal Year Annual Research Report
正常ヒト肝幹細胞の形質転換を防止する培養プロセスの構築と再生医療への応用
Project/Area Number |
17560693
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Research Institution | Sojo University |
Principal Investigator |
松下 琢 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (10209538)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上岡 龍一 崇城大学, 生物生命学部, 教授 (70099076)
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Keywords | 肝幹細胞 / 肝芽細胞 / PIVKA-II / 形質転換 / 複合脂質膜 / リポソーム / アポトーシス / 再生医療 |
Research Abstract |
1、肝がん腫瘍マーカーPIVKA-II検査法による正常ヒト肝芽細胞の形質転換(がん化)の評価 正常ヒト胎児肝細胞を酪酸ナトリウムで処理すると、濃度依存的に肝芽細胞が誘導されてくるが、形質転換も濃度依存的に誘発されることが明らかとなった。例えば5mM酪酸ナトリウムでは、胎児肝細胞の92%が肝芽細胞に誘導されるが、肝がん腫瘍マーカーPIVKA-IIの分泌速度も増加し、45.6(mAU/10^6cells/day)に達した。この値は、悪性の肝がん細胞と同程度であった。一方、1mM酪酸ナトリウムでは肝芽細胞の誘導効率は25%程度であったが、PIVKA-II分泌速度は、5.9(mAU/10^6cells/day)と、正常肝細胞とほぼ同程度であった。これらの結果から、1mM酪酸ナトリウムが、形質転換を誘発せずに肝芽細胞を誘導できる条件として適していることが示された。 2、形質転換した肝芽細胞のアポトーシス細胞死を誘導する複合脂質膜についての検討 これまでに正常細胞とがん細胞を識別して、がん細胞だけにアポトーシス細胞死を誘導する複合脂質膜(リン脂質とミセル分子からなるハイブリッドリポソーム)を開発し、現在新しいがん治療薬として臨床応用が進行している。この複合脂質膜を、形質転換した肝芽細胞の選択的排除に利用できるかどうか検討した結果、処理時間に依存して、肝芽細胞のPIVKA-II分泌速度が減少することが示めされた。この時細胞数は増加していたことから、形質転換した細胞が排除され、正常な肝芽細胞だけが増殖した可能性が示唆された。今後、処理時間や複合脂質膜組成について、より詳細に検討する予定である。
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Research Products
(4 results)