2005 Fiscal Year Annual Research Report
マイクロメカニックス試験による熱環境下の岩石破壊メカニズムの解明
Project/Area Number |
17560721
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Research Institution | Muroran Institute of Technology |
Principal Investigator |
板倉 賢一 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (20168298)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
佐藤 一彦 室蘭工業大学, 工学部, 教授 (30002009)
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Keywords | マイクロメカニックス試験 / 熱応力 / 岩石破壊メカニズム / アコースティック・エミッション / AE / 破壊シミュレーション / DEM / FEM |
Research Abstract |
本研究では、構造を把握しやすい微小な岩石供試体(5x10x1mm以下)を用いた顕微鏡下での材料試験(マイクロメカニックス試験)を実施した。試験前に偏光顕微鏡画像から構成鉱物、潜在き裂を特定した。また、熱環境下で破壊試験を行うために、200℃まで加熱制御可能なチャンバーを製作し、動作を確認した。 花崗岩供試体を常温用に11個(花崗岩のリフト面に垂直な方向に載荷軸を持つR供試体3個、グレイン面に垂直な方向に載荷軸を持つG供試体4個、ハードウェイ面に垂直な方向に載荷軸を持つH供試体4個)、50℃用に7個(R供試体2個、G供試体1個、H供試体4個)、100℃用に5個(R供試体2個、G供試体3個)を用意して、単軸引張試験を実施した。 1)それぞれの供試体の引張強度は、熱環境下であってもR供試体、G供試体、H供試体の順に高くなる傾向が見られた。 2)ただし、温度が高くなるに従って、いずれの供試体においても強度は低下した。また、100℃の環境下では、載荷以前に熱応力によりき裂が進展する供試体も見られた。 3)また、H供試体では破断に先行して、き裂の専断すべりに起因すると見られる変色域が現れ、R供試体では単一のき裂が伸長して破断に至った。 供試体の画像解析をもとに、構成鉱物を考慮した2次元FEM(有限要素法)シミュレーションを実施した。 1)常温において引張応力を加えた場合、構造の複雑な箇所に応力集中が起きていた。実際の破断線も、そのような箇所を通過していた。 2)熱環境化では、黒雲母の周辺に不均質な応力場が形成されていた。これらが、強度の低下を招くと考えられる。 一連の熱環境下における引張試験を通して、構成鉱物や潜在き裂の分布形状の複雑さとそこに作用する熱応力に応じて、不均質な応力場が形成されるため温度上昇に伴い破断強度が低下することがわかった。
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Research Products
(1 results)