2005 Fiscal Year Annual Research Report
自己修復性を有する核融合炉ブランケト絶縁被覆概念の検証
Project/Area Number |
17560734
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
室賀 健夫 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 教授 (60174322)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
長坂 琢也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助教授 (40311203)
田中 照也 核融合科学研究所, 炉工学研究センター, 助手 (30353444)
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Keywords | ブランケット / 液体リチウム / バナジウム合金 / 絶縁被覆 / 酸化エルビウム / MHD圧力損失 |
Research Abstract |
本研究は、核融合炉のブランケットの中でも特に高効率、簡易構造の特徴を持つ液体リチウム・バナジウム合金ブランケットにおける重要な開発課題であるMHD絶縁被覆に関して、複雑な内面への被覆が可能でまた自己修復特性のある酸化エルビウムその場被覆法の基礎機構とその動力炉ブランケットへの適用可能性を明らかにすることを目的とする。本研究では、バナジウム合金表面近傍に予め高温アルゴンガス経由で酸素をドープし、リチウムに少量のエルビウムを混入させることにより、液体リチウム中で構造材バナジウム合金の表面に絶縁性の酸化エルビウムをその場で形成させる手法の検証を行なう。本年度はまず様々な高温保持条件で酸素をドープし、液体リチウム浸漬中の酸化エルビウム被覆形成速度を求めた。その結果、酸素ドープ、高温保持時間に適正値があることが分かった。この適正条件におけるバナジウム基板の微細組織を透過電子顕微鏡によって観察したところ、酸化チタンの高密度針状析出物が<100>報告に発達していることが分かった。この高密度析出が酸素を保持し、液体リチウム浸漬時に表面被覆形成のための酸素を供給している。次に、温度、浸漬時間を変えて被覆の厚さ変化を求めた。その結果、550℃-700℃の範囲で、厚さは浸漬時間の約1/2乗に比例して増加し、高温ほど成長が早いことが分かった。これは、被覆が基板内部及び被覆中の酸素の拡散に支配されて成長することを示している。被覆の電気抵抗を室温から600℃の範囲で測定し、充分な抵抗を有することが明らかになった。このように、本年度は、酸化エルビウムのその場被覆について、基板の酸素保持および被覆への酸素供給の機構、被覆成長の速度論を明らかにするとともに、得られた被覆が充分な抵抗を有することを明らかにした。また、測定された厚さの酸化エルビウムをブランケット冷却配管に全面被覆したときのブランケットの特性を核計算によって求め、トリチウム増殖比への影響は無視できることを明らかにした。
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Research Products
(3 results)