2005 Fiscal Year Annual Research Report
圧力駆動型モードによる巨視的構造変化に対する自発的ゾーナルフローの効果
Project/Area Number |
17560736
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | National Institute for Fusion Science |
Principal Investigator |
市口 勝治 核融合科学研究所, 大型ヘリカル研究部, 助教授 (90211739)
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Keywords | 磁場閉じ込め核融合プラズマ / 非線形数値シミュレーション / MHD(電磁流体力学) / 圧力駆動型モード / プラズマベータ値 / マルチスケール手法 / 大型ヘリカル装置 / 自己組織化 |
Research Abstract |
今年度は、磁場閉じ込め核融合プラズマの非線型MHD数値シミュレーションにおける、ベータ値上昇を含む時間発展法の確立を行った。圧力駆動型モードに対する安定性を包括的に議論するためには、プラズマベータ値の上昇に伴う平衡量の変化を非線型解析に取り入れることが必須である。従って、ベータ上昇に伴って、摂動量と平衡量の両方の時間発展を同時に追跡しなければならない。ところが、平衡量が変化する特徴的な時間スケールと摂動量が変化する特徴的な時間スケールとの間には、10の5乗程度の開きがある。そこで、この両者の時間発展を追跡するために、摂動量を一定時間追跡したところで、平衡量のベータ上昇を行うというマルチスケール手法を開発した。このとき、摂動量の非線型時間発展には簡約化MHD方程式に基づいて開発したNORMコードを用い、平衡量の更新には三次元静止平衡計算コードVMECを用いた。また、平衡量の更新の際には、摂動量の非線型発展によって生じた平均圧力分布の変形の効果を取り入れるようにした。さらに、摂動量の連続性を高めるために、平衡量の更新間の時間区間を分割し、それぞれの分割区間において平衡量を線型補間して用いるという改良を加えた。 この解析手法を、核融合科学研究所の大型ヘリカル装置のプラズマに適用した。このプラズマは、線型理論では低ベータ領域で圧力駆動型モードである交換型モードに対して不安定と予測されていたにも拘らず、大規模な破壊現象は観測されていない。そこで、この安定化メカニズム解明のために、この手法を用いた解析を行った。その結果、ベータ値上昇とともに滑らかに圧力分布が変形してゆく様子が得られた。このため、圧力駆動型モードの自由エネルギーの蓄積が抑制され、破壊的な現象が妨げられている。このことから、プラズマ自身がベータ上昇に伴って安定な経路を自ら探索するという自己組織化現象が、安定化メカニズムとして働いていると考えられる。
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