2005 Fiscal Year Annual Research Report
シヨウジヨウバエ学習・記憶中枢の形成と機能に関わる遺伝子網の分子遺伝学的基盤
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17570001
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
小林 正友 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 講師 (40360549)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
古久保 克男 (徳永 克男) 筑波大学, 大学院・生命環境科学研究科, 助教授 (00272154)
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Keywords | 神経発生 / 脳・神経 / ショウジョウバエ / マイクロアレー / 遺伝子 / RNA干渉 |
Research Abstract |
ショウジョウバエの脳・神経系におけるキノコ体は、比較解剖学的には脊椎動物の嗅皮質や海馬に相当する構造で、嗅覚連合学習の高次中枢として機能している。このキノコ体の神経発生と可塑性に関わる遺伝子の網羅的解析としてDNAマイクロアレーを用いて102の遺伝子を同定してきた。それらの59の遺伝子構造から予想される機能を分類すると、転写因子群18%、各種酵素群18%、細胞シグナリング関連分子12%、トランスポーター11%などが判明した。さらに、キノコ体でのin vivoでの発現を蛍光in situ hybridization法で25遺伝子調べると20の遺伝子について、キノコ体での発現が認められた。これらの結果よりキノコ体で発現する遺伝子群が高い割合で探索されたと思われる。さらにキノコ体形成過程における影響を調べるため、RNA干渉法により検討した。ショウジョウバエキノコ体特異的なエンハンサー系統に、ヘアピン型DNA(5'より500bpの逆向き反復配列)が挿入された各種RNAi系統(国立遺伝学研究所、上田龍博士より分与)を掛け合わせ、F1世代における各遺伝子のキノコ体での発現を抑制した。結果として8例がキノコ体の形成異常を示し、20例の中程度の表現型が見られた。これらの結果は、学習・記憶に関わるキノコ体神経のシナプス可塑性に関連した神経因子に加えて、その分化や再構築に関わる遺伝子も多数得られたと思われる。今後さらに個々の遺伝子の発現解析やRNA干渉実験により、キノコ体神経発生や機能に影響する遺伝子カタログの完成を目指したいと考えている。
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