2005 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ突然変異体を用いたイオンホメオスタシス研究基盤の確立と展開
Project/Area Number |
17570003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星島 一幸 東京工業大学, 大学院・生命理工学研究科, 助手 (70397032)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / イオンホメオスタシス / Mitochondria-rich (MR)細胞 |
Research Abstract |
1)ゼブラフィッシュなどの淡水魚は、イオン濃度が極端に低い環境水に接するために絶えず体内より様々なイオンを流出する傾向にある。このため体内イオン濃度を一定範囲内に維持するには環境水より積極的に各種イオンを取り込むことが必須である。Mitochondria-rich (MR)細胞は体表、特にエラにおいてよく発達した細胞で、その細胞形態、および遺伝子発現から環境水からのイオン吸収を担う細胞と考えられてきた。本研究ではNa^+に反応する蛍光色素を用いることで、生きたゼブラフィッシュ幼生においてMR細胞がNa^+が取り込んでいることを明らかにした。さらにMR細胞はVacuolar-type H^+-ATPaseに富んだタイプとNa^+/K^+-ATPaseに富んだタイプの2種類に分けられること、Na^+は前者のタイプのMR細胞において特異的に取り込まれていることを明らかにした。 2)淡水魚の体内イオン濃度は、接する環境水中のイオン濃度変化の影響を直接受けるにもかからず、その濃度を常に一定範囲内に維持する機構が存在し、特に内分泌系による全身でのネットワーク調節が必須の役割を担うと考えられる。本研究では5つの内分泌系遺伝子に注目し、これらの転写量が環境イオン濃度の応答して変動することを明らかにした。現在microarray解析を行い、環境イオン濃度に応答する遺伝子を網羅的に検索している。 3)イオンホメオスタシス機能の欠損が疑われるゼブラフィッシュ変異体ftkについてその原因遺伝子の同定を進めた結果、第7染色体の約200kbの領域にその遺伝子座を特定することができた。ゲノムデータベース上ではこの領域には4つの遺伝子が存在する。今後はこれらの遺伝子のいずれに変異が認められるかを解析し、さらにモルフォリノを用いた発現阻害実験、あるいはmRNAの顕微注入による相補性実験を加えて原因遺伝子の特定を進める。
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Research Products
(1 results)