2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ突然変異体を用いたイオンホメオスタシス研究基盤の確立と展開
Project/Area Number |
17570003
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
星島 一幸 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, COE助手 (70397032)
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Keywords | ゼブラフィッシュ / イオンホメオスタシス / Mitochondria-Rich Cell |
Research Abstract |
1)ゼブラフィッシュなどの淡水魚は,イオン濃度が極端に低い環境水に接するために絶えず体内より様々なイオンを流出する傾向にある。このため高い体内イオン濃度を一定範囲内に維持するには環境水より各種イオンを積極的に取り込む必要がある。Mitochondria-Rich Cell(MRC)は体表,特にエラによく発達した細胞で,その細胞形態,および遺伝子発現から淡水環境から様々なイオンを吸収する役割を担う細胞であると考えられてきた。本研究では,まずゼブラフィッシュ幼生の卵黄表面上に発達するMRCが少なくともVacuolar-type H^+-ATPaseに富んだタイプ(vH-MRC)とNa^+/K^+-ATPaseに富んだタイプ(NaK-MRC)の2種類に分けられることを示し,続いてNa^+に反応する蛍光色素(Na-Green)を用いることで,NaK-MRCではなく,vH-MRCがNa^+を吸収していることを明らかにした。さらにMRCの発生が嚢胚後期に始まること,その分化にはfoxi3a転写調節因子の機能が必須であること明らかにした。 2)ゼブラフィッシュなどの淡水魚のイオン吸収能力は,接する淡水環境のイオン濃度に依存する。イオン濃度のより低い淡水環境ではイオン流出が激しく,より強力なイオン吸収能力を発揮する必要がある。このような環境イオン濃度に対応したイオン吸収能力の調節にはイオン吸収を担うMRCにおける活性調節だけでなく,内分泌系による統括的な調節が存在することが考えられる。本研究では,イオン濃度・組成が異なる様々な淡水環境で飼育したゼブラフィッシュ幼生における内分泌系遺伝子の発現調節を解析し,いくつかの内分泌系遺伝子において環境イオン濃度に転写レベルで応答していることを見いだした。
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Research Products
(2 results)