2005 Fiscal Year Annual Research Report
代謝産物輸送体発現変異株を用いた葉緑体リンゴ酸バルブの解析
Project/Area Number |
17570033
|
Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 名古屋大学, 大学院・生命農学研究科, 助教授 (40231419)
|
Keywords | 植物 / 葉緑体 / 光合成 / 輸送体 / 環境 |
Research Abstract |
シロイヌナズナの2-オキソグルタル酸/リンゴ酸輸送体(OMT)の遺伝子破壊株および過剰発現株を用いて以下の知見を得た. (1)葉中の各種代謝産物含量を測定した.OMT遺伝子破壊株では野生株に比べて2-オキソグルタル酸を含む有機酸含量の増大が見られた.さらに,Gln含量が増加している一方,他のアミノ酸が減少していた.この結果から,葉緑体ストロマ内のGS/GOGATサイクルへの2-オキソグルタル酸供給は主にOMTにより行われており,OMTの欠損は有機酸代謝,光呼吸,窒素向化,アミノ酸合成に影響を及ぼすことが明らかとなった. (2)リンゴ酸バルブの構成因子だと目されるOMTの遺伝子破壊株では,強光ストレスによる光阻害を受けやすいことをクロロフィル蛍光測定により明らかにした.ストロマ外への還元力排出が遺伝子破壊株で阻害されているかどうかを現在解析中である.また,この光阻害が"リンゴ酸バルブの欠損"と"光呼吸活性の低下"のどちらが主要因となり引き起こされているかを明らかにする必要がある. (3)OMT過剰発現株の葉組織内有機酸含量およびアミノ酸組成は,野生株とほぼ同様であった.また,生育具合も野生株と同程度であった.過剰発現株から単離した葉緑体の基質取り込み活性は,野生株に比べて1.5倍程度しか増加しておらず,このことが代謝産物組成に影響を及ぼさなかった原因なのか,あるいは基質輸送は代謝の律速段階となっていないことが原因なのかを明らかにする必要がある.
|
Research Products
(3 results)