2006 Fiscal Year Annual Research Report
代謝産物輸送体発現変異株を用いた葉緑体リンゴ酸バルブの解析
Project/Area Number |
17570033
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
谷口 光隆 名古屋大学, 大学院生命農学研究科, 助教授 (40231419)
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Keywords | 植物 / 葉緑体 / 光合成 / 輸送体 / 環境ストレス / 還元力 / 光阻害 / シロイヌナズナ |
Research Abstract |
プラスチド内包膜に局在する2-オキソグルタル酸/リンゴ酸輸送体(OMT)に関して,シロイヌナズの遺伝子破壊株,過剰発現株,および各種C_4植物を用いて,以下の知見を得た. 1.シロイヌナズナOMT遺伝子破壊株では,野生株に比べて強光照射に伴うFv/Fm償およびΦIIの有意な低下が見られた.したがって,OMT遺伝子破壊株は強光ストレスによる光阻害を受けやすいと結論された.また,OMT遺伝子破壊株では野生株に比べて,強光照射に伴うNADP-MDH活性化率の上昇がより顕著であったことから,OMTの機能低下によりストロマ内に過剰還元力が蓄積しやすくなっていることが明らかとなった.これらの結果は,OMTがリンゴ酸バルブ機能に関与していることを指示する傍証となるものである. 2.カリフラワーモザイクウイルス35Sプロモーター下流にOMT cDNAをつなげたコンストラクトをシロイヌナズナOMT遺伝子破壊株に導入した.この形質転換体では,OMT遺伝子破壊株で見られた生育遅延や光阻害感受性が野生株のレベルまで低減した.現在,代謝産物の定量を行っている. 3.トウモロコシ,ソルガム(ともにNADP-ME型C_4植物),シコクビエ(NAD-ME型C_4植物),グリーンパニック(PCK型C_4植物)におけるOMT遺伝子の発現を調べたところ,どのC_4植物種においてもOMTは葉肉細胞で発現し,維管束鞘細胞では発現しておらず,C_4植物においてOMTは葉肉細胞特異的な機能をもつことが明らかとなった.おそらく,硝酸同化系や還元力輸送に関係しているものと思われる.
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Research Products
(3 results)