2006 Fiscal Year Annual Research Report
ゼブラフィッシュ尾形成におけるWntシグナルの役割についての研究
Project/Area Number |
17570185
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Research Institution | RIKEN |
Principal Investigator |
清水 貴史 独立行政法人理化学研究所, 体軸形成研究チーム, 研究員 (50324760)
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Keywords | Wnt / Fgf / Cdx / レチノイン酸 / Hox / 菱脳節 / 尾部 / 神経形成 |
Research Abstract |
Wntシグナルは、脊椎動物において後方組織形成に重要であることが知られている。我々は、ゼブラフィッシュにおいてWnt3a/8が、その下流遺伝子cdx1a/4(caudal関連遺伝子)を介して、体幹・尾部の神経組織の形成を制御していること示してきた。今回、Cdx1a/4機能阻害胚における神経系のパターニングを詳細に調べた。Cdx1a/4機能阻害胚では、hoxb7a(4体節)より後方のhox遺伝子の神経系における発現が消失していた。これらの胚では後方神経領域において、本来の前後軸とは反対に、尾側から吻側に向って菱脳節(r)4-7・前方脊髄が形成されるていた。後方菱脳節、前方脊髄のパターン形成には、レチノイン酸(RA)およびFgfの濃度勾配が重要であると考えられている。ゼブラフィッシュ胚後方では、尾側からFgfの、体幹部からRAの濃度勾配が本来の菱脳節、前方脊髄とは前後反対に形成される。Cdx1a/4機能阻害胚では、後方神経が形成される代わりにFgfとRAの濃度勾配を感知して、新たな後方菱脳節が尾側に形成されると考えられた。そこでCdx1a/4機能阻害胚においてRA合成及びFgfシグナルの阻害実験を行った。Cdx及びRA合成阻害によりr5より後方の神経形成が阻害され、Cdx及びFgfシグナル阻害によりr4,r5の形成が阻害された。また、Cdx機能阻害胚における異所的な菱脳形成は、後方hox遺伝子(hoxb7d、a9a、b9a)の過剰発現によって阻害された。これらのことから、CdxはFgf及びRAシグナルに対する反応性を制御していることが示唆された。また、Cdxは、Fgfと協調して後方fox遺伝子の発現を制御して神経系のパターン形成に重要な役割をしていることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)