2006 Fiscal Year Annual Research Report
"縄文的遺伝子型"を定義する-東北縄文人のミトコンドリアDNA解析を通じた試み-
Project/Area Number |
17570192
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
安達 登 山梨大学, 大学院医学工学総合研究部, 教授 (60282125)
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Keywords | ミトコンドリアDNA / ancient DNA / 縄文 / population study |
Research Abstract |
「縄文的遺伝子型」を定義づけるため、前年度に引き続き、東北地方の縄文時代以降の遺伝子型の時代変遷を調査すべく、山形県酒田市飛島・狭穴洞窟遺跡出土の平安時代人骨の歯を試料としてDNAを抽出し、ミトコンドリアDNA(mtDNA)解析によりこれら人骨の遺伝子型を明らかにすることを目的として研究を進めた。狭穴洞窟遺跡人骨のうち、TA-1号については形態人類学的に縄文時代人との類似性が指摘されていた。 すべての試料について、control regionおよびcoding regionの塩基置換をダイレクトシークエンス法およびamplified product-length polymorphism(APLP)法を用いて検出した。得られた結果をもとに、現代人のデータベースを用いて狭穴洞窟遺跡人骨のmtDNAをハプログループに分類した。 検査した8個体のうち、TA-1号を含む7個体について結果が得られた。これら7個体は6種類の異なるハプログループに分類され、狭穴洞窟遺跡人は遺跡の性格からは想像できないほど母系的に多様な集団であることが判明した。また、観察されたハプログループはすべて、日本人を含む現代アジア人集団に普遍的にみられるものであり、前年度までの研究で「縄文的遺伝子型」の有力な候補の一つと推定されたハプログループN9bは1例も観察されなかった。この結果が狭穴洞窟遺跡人と東北地方縄文人が遺伝的に疎遠であることを意味するのか、あるいは縄文人の遺伝的地域差によるものなのかは現時点ではデータ不足のため判断できず、より広い地域、時代に渡って試料調査を継続することの必要性が示唆された。
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Research Products
(3 results)