Research Abstract |
1.評価実験 背景を京都市内の屋上から見える代表的景観4事例,緑化様式を芝,和,洋,緑化無しの4様式とした合成画像16枚を提示して,アイマークレコーダー(EMR)による眼球運動の測定と評価実験を行った。屋上に緑化を施すと緑化無しに比べ好ましさの評価が高く,特に和風緑化は好ましさ,京都らしさ共に最も評価が高かった。また線量は背景の緑の要素率に関わらず,全ての画像で和風が最も高く,次いで,洋風,シバ,緑化無しの順になった。EMRによる実験では,屋上緑化部分では,背の高い植栽の誘目性が高いことが示され,背景では画像に占める緑量の増加に比例して人工物に対する注視割合が高くなった。また,いずれの背景でも,緑化形態に関わらず,建物はほぼ同じ注視割合となった。好ましい場所の注視では概ね全ての呈示画像で緑,植栽等の自然要素の割合が高く,好ましくない場所では,建物,スラブ等の人工的要素で注視割合が高かった。なお,呈示された画像の第一印象の段階では好ましい場所に比べ好ましくない場所を観察する割合が高いことが示され,快適な屋上緑化のあり方を考える際には,緑化形態と地域の景観の双方からの検討が必要であると思われた。 2.労働者(オフィスワーカー)の休憩場所としての緑化された屋上の可能性 文献及びインターネットによる情報収集によって抽出した関西の屋上緑化事例17に対し,施工の目的などのヒアリング調査と,屋上緑化形態,休憩施設などの実態を調査した。また,それぞれのビルで働くワーカーの昼休憩,リフレッシュ休憩の実態と休憩場所としての屋上の利用実態を探り,多様な植物を用いた緑化が施され,椅子やベンチなどの座る施設,雨よけや緑陰などのしつらえが備わった屋上緑化空間が安らぎと快適性のある休憩場所として期待されることを明らかにすることができた。
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