2007 Fiscal Year Annual Research Report
病原菌の感染した植物における二次代謝産物の行方-細胞壁の関与を中心に-
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17580095
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
石原 亨 Kyoto University, 農学研究科, 助教 (80281103)
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Keywords | 二次代謝 / 細胞壁 / シロイヌナズナ / インドール-3-カルボン酸 / ファイトアレキシン / HPLC / エンバク / アベナンスラミド |
Research Abstract |
モデル植物のシロイヌナズナとイネ科植物のエンバクにおいて二次代謝産物の代謝的運命を調べた. 昨年度の研究で,シロイヌナズナではアブラナ科黒すす病菌(Alternaria brassicicola)が感染すると,細胞壁に結合したインドール-3-カルボン酸が増加ことを見いだしていた.そこで,その生合成経路を明らかにする実験を行った.まず,A. brassicicolaの接種と同時に安定同位元素で標識したトリプトファン(Trp)を投与し、インドール3-カルボン酸(ICA)への取り込みを調べた.標識は効率よく取り込まれたことから,ICAはTrpからde novo合成されていることがわかった.次に,Trp代謝に変異を持つ系統にA. brassicicolaを接種してICAの蓄積量を調べた.Trpから合成されるファイトアレキシン,カマレキシンを欠損するpad3では,野生型と比較してICAを多量に蓄積した.この結果は,ICAはカマレキシンを経て生合成されるのではないことを証明すると同時に,おそらくICAの生合成経路がカマレキシン合成経路の上流で分岐していることを強く示唆するものであった. 一方,イネ科植物のエンバクでは,ファイトアレキシンであるアベナンスラミド類が細胞壁画分に取り込まれていることが判明していたが,その過程を詳しく解析するため,アベナンスラミドに由来する代謝物の構造解析を行った.その結果、アベナンスラミドBのデヒドロダイマーが複数存在することがわかった.その構造を解析したところ,いずれもこれまでに見いだされたことがない炭素骨格をもったリグナナミドであった.これらの化合物は,アベナンスラミド類が細胞壁に取り込まれる際のユニットになっているものと想定された.
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