2007 Fiscal Year Annual Research Report
ビタミンB12酵素、メチルマロニル-CoAムターゼの活性発現調節と新規機能の解明
Project/Area Number |
17580116
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
乾 博 Osaka Prefecture University, 生命環境科学研究科, 教授 (20193568)
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Keywords | ビタミンB_<12> / アデノシルコバラミン / メチルマロニル-CoAムターゼ / ラット肝臓 / ミトコンドリア / 補酵素 |
Research Abstract |
メチルマロニル-CoAムターゼは、補酵素であるアデノシルコバラミンが結合したホロ型は活性を有するが、結合していないアポ型は活性を持たない。このように補酵素を結合し活性型となるタイプの酵素は、多くの場合は生体内で大半がホロ型として存在している。ところが、メチルマロニル-CoAムターゼ の場合は、正常なラットの肝臓ではホロ型の比率が5%程度であり、B_<12>を大過剰添加して生育させた培養細胞でもホロ型の割合は30%程度であった。したがって、メチルマロニル-CoAムターゼの揚合は、何らかの理由でホロ酵素の割合を低く抑えているものと考えられる。そこで、この理由を明らかにすることを目的として、まず細胞にメチルマロニル-CoAムターゼ遺伝子を導入し、本酵素の発現レベルを上昇させ、その影響について検討した。その結果、発現レベルの上昇に伴ってトータル活性(ホロ酵素+アポ酵素活性)は約1.5倍に増加したが、ホロ酵素活牲は全く影響を受けなかった。この結果は、アデノシルコバラミン合成は厳密に調節されており、アポ酵素が増加じても影響を受けないことを示すものである。アデノシルコバラミン合成に特異的に作用するタンパク質(酵素)として、ミトコンドリア内に少なくとも2種類(MMAAとMMAB)存在することが知られている。これらタンパク質の発現レベルがアデノシルコバラミン合成の制限因子となり、結果的にホロ酵素の比率が低く抑えられている可能性が考えられるので、MMAA、MMAB遺伝子を細胞に導入し、両タンパク質の発現レベルを上昇させた。しかし、ホロ酵素活性の上昇は見られなかった。したがって、MMAA、MMAB以外の因子によって制御されているものと考えられる。 アポ型のメチルマロニル-CoAムターゼについて、その存在の生理的意義を明らかにすることを目的として、17年度、18年度に引き続き、本酵素タンパク質ど相互作用を示すタンパク質について酵母two-hybrid systemによる検索を行なったが、残念ながら目的にかなう遺伝子は得られなかった。さらに、MMAA、MMABについても同様に検討したが、相互作用を示すタンパク質は見つからなかった。
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