2006 Fiscal Year Annual Research Report
亜熱帯沖縄産樹木からのイソプレンガス放出の環境特性と調節メカニズムの解明
Project/Area Number |
17580129
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
屋 宏典 琉球大学, 遺伝子実験センター, 教授 (10177165)
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Keywords | isoprene / emission / normalization / estimation / synthase |
Research Abstract |
今年度は昨年度に引き続き、イソプレン放出の予測式のうち光の影響に関する補正係数(C_L)のパラメーター推定を行った。すなわち、人工気象装置内において温度一定条件下で、光強度を変化させ、イソプレン放出速度に及ぼす影響を検討し、昨年度の結果と併せて新しい予測式を設定した。次いで、夏季屋外におけるクワ科植物の放出速度の日内変動速度の推定を従来の予測式と新しく設定した予測式で推定し、実測値との比較により両者の推定精度の比較検討を行った。その結果、クワ科植物からのイソプレン放出の日内変動は温帯樹木からのイソプレン放出速度に基づいて提唱された従来の予測式(Guenther等)では大幅に低く見積もることが明らかにされた(現在結果の最終的なとりまとめと、論文投稿の準備中) さらに、今年度は熱帯植物からのイソプレン生合成酵素のクリーニングを試みた。アミノ酸配列の比較・検索により、イソプレン生合成酵素は現在明らかにされているポプラとクズ間でもコンセンサス配列は限られており、むしろテルペノイド合成酵素に対して比較的高い相同性を示すことが明らかになった。そこで、本研究においてはテルペノイド合成酵素との相同領域をもとに縮重プライマーを設計し、RT-PCRによりモクマオウからイソプレン生合成酵素のクローニングを行い、以下の点を明らかにした。1)RT-PCRと3'RACEにより、推定アミノ酸レベルでポプライソプレン合成酵素と46%、クズイソプレン合成酵素と43%の相同性を示す約750bpの塩基配列が得られた。2)定量RT-PCRにより、この候補遺伝子のmRNAの発現量が高温、多光量環境下において顕著に増加することが確認された。3)Sharkeyらの推奨したモデル図において、イソプレン合成酵素の活性中心となる2つのフェニルアラニン残基のうち、C末端側のフェニルアラニンが一致した。これらの結果は、本cDNAがイソプレン合成酵素をコードしていることを強く示唆しており、今後全長cDNAのクローニングと発現タンパク質による活性確認の実験を行う予定にしている。
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Research Products
(2 results)