2005 Fiscal Year Annual Research Report
成体脳における神経幹細胞特異的遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
17590173
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Dokkyo Medical University |
Principal Investigator |
榊原 伸一 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (70337369)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
上田 秀一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (60150570)
中舘 和彦 獨協医科大学, 医学部, 助手 (80372895)
野田 隆洋 獨協医科大学, 医学部, 助手 (90364596)
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Keywords | 神経幹細胞 / 成体脳 / 細胞分裂 |
Research Abstract |
我々は、神経幹細胞の選択的培養法であるneurosphere法および単層培養法とsuppression PCR-subtraction法を組み合わせて、神経幹細胞の維持に重要な働きを担う遺伝子群の同定を試み、約150の遺伝子群を同定した。 本年度はこれらの新規遺伝子群からSE90(遺伝子番号)を選び解析を進めた。SE90遺伝子は分子量80kDaのタンパク質をコードすることが予想されるが、既知のモチーフ構造は認められず、機能については全く未知の新規タンパク質であり、ニューロン・グリアへの分化誘導により発現が急速に消失する。in situ hybridizationの結果から、SE90は胎生期の脳室周囲層や成体脳の側脳室のSVZを構成する細胞のうちのごく一部の細胞にのみ発現しており、それ以外の領域、細胞での発現はほとんど認められない。さらにSE90遺伝子産物の発現細胞の分布を調べるために特異的抗体を作製した。免疫組織化学染色により、SE90タンパク質は胎生期のNestin陽性の神経上皮細胞、および成熟脳のSVZにおける少数の分裂期細胞の紡錘体様構造(mitotic spindle)に強く発現しており、またこれらの細胞の細胞突起(radial fiber)にも発現が認められた。現在さらに本抗体を用いた免疫電顕を行い、SE90陽性細胞を超微細形態的に検討している。 一方、COS7や神経系のNG108などの各種培養細胞系に強制発現を検討した結果、プラスミドベクターによる遺伝子導入を行った細胞は分裂して生存を続けられない可能性が示唆された。以上の結果や発現パターンからSE90がneurogenesisの過程で神経系前駆細胞(幹細胞)の細胞分裂において重要な機能を担っていることが予想された。今後ウイルスベクターによる個体での強制発現やsiRNAによる機能阻害実験を行い本遺伝子の機能の解明を行う予定である。
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