2005 Fiscal Year Annual Research Report
アデノシンA2a受容体の欠損は、なぜREM睡眠期の血圧・心拍数を上昇させるのか?
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17590206
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
勢井 宏義 徳島大学, 大学院・ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教授 (40206602)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
裏出 良博 財団法人大阪バイオサイエンス研究所, 分子行動生物学部門, 研究部長 (10201360)
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Keywords | 生理学 / 循環器・高血圧 / 睡眠 / 神経科学 / 脳・神経 |
Research Abstract |
血圧・心拍数の解析に先立てて、循環調節や睡眠に強く影響を及ぼす情動・運動について解析を行なった。 アデノシンA2Aレセプタ遮断薬であるSCH58261、およびA1レセプタ遮断薬であるCPTを用いて、マウスの不安・バランスとアデノシンレセプタとの関連性を観察した。不安の評価には高架式十字迷路を用い、バランスの評価にはrota rodを用いた。各遮断薬を腹腔内投与した30分後に、各行動試験を行なった。その結果、A2Aレセプタの遮断は自発行動量を増加させたが、高架式十字迷路には影響を及ぼさなかった。rota rodへの影響も観察されなかった。一方、A1レセプタの遮断は、自発行動量は変化させなかったが、高架式十字迷路において不安尺度を上げ、また、rota rodの成績を悪化させた。これらの結果から、A1レセプタは、不安やバランスに関与しているが、A2Aレセプタの関与は小さいと考えられた。A2Aレセプタ欠損によるREM睡眠期の血圧・心拍数上昇には、情動や姿勢制御機構ではなく、自発運動量に関わる機構と連動している可能性がある。 一方、血圧と強い関連性をもつ呼吸機能を見るために、睡眠と呼吸のモニタを同時にできるシステムを構築した。圧変化によって呼吸をモニタする方法を採用した。呼吸モニタ用チャンバーにマウスを入れ、睡眠判定の指標となる脳波と筋電図を無線システムで記録するようにした。これによって、呼吸も睡眠もかなり安定的に記録できるようになった。アデノシンA2Aレセプタノックアウトマウスと野生型マウスの両方に、REM睡眠期に限局した無呼吸が観察された。その頻度には、これまでのところ、群間に差は見出せない。REM睡眠期の血圧・心拍数変動の違いに、呼吸機能は関わっていない可能性が示唆された。
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