2006 Fiscal Year Annual Research Report
慢性咳嗽時の発咳亢進機序におけるC線維終末でのタキキニン遊離調節機構の関与
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17590230
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
亀井 淳三 星薬科大学, 薬学部, 教授 (40161236)
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Keywords | TRPV1 / 咳嗽反射 / Nitric Oxide / アナンダマイド / 慢性咳嗽 |
Research Abstract |
内因性TRPV1受容体作動薬であるアナンダマイドはC線維終末にあるアンアダマイドトランスポーターを介して取り込まれ、TRPV1受容体を刺激し、タキキニン類の遊離を促進することが示唆されている。マウスに高濃度(3mg/ml)のアナンダマイドを3分間吸入することにより誘発された咳嗽数(約15回程度)は、TRPV1受容体の選択的拮抗薬であるカプサゼピンにより有意に拮抗された。また、低濃度(0.3mg/ml)のアナンダマイドの吸入では溶媒である10%DMSO吸入時とほぼ同程度の咳嗽数(7回程度)が誘発されたがnitric oxide(NO)の前駆物質であるL-arginineを事前吸入することにより、低濃度(0.3mg/ml)のアナンダマイドの吸入による咳嗽数は有意に増加した。L-Arginineにより増加した低濃度(0.3mg/ml)アナンダマイド誘発咳嗽数はNOの合成阻害薬であるL-NAMEにより用量依存的に抑制された。Ovalbumineにより感作およびチャレンジにより気道炎症を引き起こしたマウスのカプサイシン誘発咳嗽数は非感作・非チャレンジ群マウスに比べ増加しており、肺胞洗浄液中のNO量も有意に増加していた。これまでの報告で、NOがアナンダマイドトランスポーターを活性化させることが示唆されている。これらのことから、気道炎症により増加したNOがC線維終末でのトランスポーターを介したアナンダマイドの取込みを促進し、その取込まれたアナナダマイドがTRPV1受容体を刺激し、タキキニン類の遊離を促進することで、いわゆる咳の受容器の一つであるAδ線維終末受容器のrapidly adapting receptorの興奮性を亢進し、咳の感受性を増大させていることが考えられる。これらのメカニズムが気道炎症を伴う慢性咳嗽の発症機序の一因となっている可能性が強く示唆される。
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Research Products
(1 results)