2006 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌におけるアンギオポエチンとTie受容体の発現と増殖・浸潤における役割
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17590351
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
中山 敏幸 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 助教授 (30284673)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
関根 一郎 長崎大学, 大学院医歯薬学総合研究科, 教授 (60039922)
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Keywords | 大腸癌 / アンギオポエチン / Tie / 浸潤 / 分化度 |
Research Abstract |
昨年度までに、ヒト大腸癌パラフィン固定組織標本を用い、免疫組織化学染色を行った結果、アンギオポエチン(Ang)-1,2,4とTie-1,2受容体の発現と臨床病理学的指標との相関関係を検討した。各蛋白の発現が認められ、各染色の陽性率と分化度、腫瘍浸達度、脈管浸潤等との関連が認められた。 本年度は、大腸癌培養細胞を用い、アンギオポエチン投与による細胞増殖・分化・浸潤能への影響を検討した。 1.アンギオポエチン(Ang)-1,-2を細胞培養液中に投与し、Cell counterを用い、細胞数の増加を検討した。Ang-1とAng-2では、用いたヒト大腸癌培養細胞の種類により、細胞増殖に与える効果に違いが認められた。また、一部の培養細胞では細胞形態の変化が認められた。細胞分化の指標となる粘液産生の検討や上皮細胞系マーカー発現の検討はいまだ不十分で実験を継続中である。 2.Modified Boyden's chamberを用いてInvasion assayを行い、浸潤能への影響を検討した。培養細胞の浸潤の促進効果は、細胞種類により異なる結果が得られた。 3.ヒト大腸癌培養細胞にAng-1,2を投与し、蛋白を採取し、Western blotにて、細胞内シグナリング活性の検討を行った。MAPkinase系、PI3kinase系等の活性化が認められ、アンギオポエチンが大腸癌培養細胞内のシグナリング活性に関与していることが示唆された。 4.アンギオポエチンによる増殖・分化・浸潤への効果が、Tie受容体チロシンキナーゼが活性化する細胞内シグナル伝達系を特定するため、MAPkinase系、PI3kinase系等に特異的な阻害剤であるWortmanninやPD98059等を投与し、アンギオポエチンの効果抑制作用を検討したが、実験に時間がかかるため現在進行中である。
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