2006 Fiscal Year Annual Research Report
寄成虫感染における白血球遊走性レクチンの構造と機能
Project/Area Number |
17590371
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
大橋 眞 徳島大学, 総合科学部, 教授 (40128369)
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Keywords | レクチン / 好中球 / 好酸球 / サイトカイン / 生体防御 / 肝臓 |
Research Abstract |
寄生虫感染において増加する白血球遊走性サイトカインとして、糖鎖を認識する白血球遊走性サイトカインの存在が知られるようになってきた。病原体の認識機構だけでなく、細胞の局在化という免疫機構の重要な局面においても、糖鎖の関与があることを示唆するものであり、免疫応答調節機構の関わる細胞間相互作用の解明には、糖鎖の認識機構の解明が必要であると考えられる。今回の研究では、好酸球遊走性サイトカインとして構造が明らかとなったECF-Lのようなキチナーゼ様蛋白質産生が寄生虫感染においてどのような動態をとるかを調べた。 この目的のため、感染後経時的に肝臓から結節を単離し、ECL-Lの産生を好酸球遊走活性及び抗体を用いたウエスタンプロットを用いて調べた。また、各種臓器でのECF-Lの発現をノーザンブロット及びウエスタンプロットで調べた。 虫卵結節から産生される好酸球遊走活性は、虫卵結節形成初期の6週で最も高く、その後漸減することが明らかとなった。ECF-L産生を直接ウエスタンプロットで調べると、虫卵結節形成初期よりも慢性期への移行期が最も高く以後減少した。虫卵結節からの各種サイトカイン産生を調べると、IL4やIL5などのTh2サイトカインと共に各種ケモカインが高レベルで産生されていることがわかった。 これらのことから、感染初期には虫卵からの好酸球遊走因子やケモカインが働き、その後、Th2サイトカイン産生と繊維化の進行が高まる時期にECF-L産生が上昇し、虫卵結節の形成が進行する可能性が示唆された。また、Th1におけるTLR4を介するシグナル伝達を阻止することによりECF-L産生が上昇することから、Th2細胞の誘導にECF-Lが関与する可能性があると考えられる。各種臓器でのECF-L発現では、肝臓のみならず、心臓でも発現していることから、細胞の遊走だけでなく、細胞間の相互作用に関与している可能性もある。
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