2006 Fiscal Year Annual Research Report
数理モデルを用いたパンデミック・インフルエンザ・プランニングの研究
Project/Area Number |
17590447
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Research Institution | University of Tsukuba |
Principal Investigator |
大久保 一郎 筑波大学, 大学院人間総合科学研究科, 教授 (40323307)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大日 康史 国立感染症研究所, 感染症情報センター, 主任研究官 (60223757)
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Keywords | 新型インフルエンザ / 数理モデル / individual based model / シミュレーション / 対策計画 / 満員電車 |
Research Abstract |
目的:individual based modelは、近年の感染症モデルとして最もパワフルなモデルであり、新型インフルエンザ対策では広く用いられている。しかしながらモデルはあくまでモデルあり、実際の人の所在、移動を表現したものではない。モデルをより現実的に近づける努力は重要であるが、それでもやはり現実性は乏しい。本研究では逆に、実際の人の所在、移動のデータからモデルを構築した。 方法:1998年10-12月に実施された、首都圏在住の約88万人の1日の移動、所在が記録された抽出率約2.7%のデータを用いる。所在は、自宅、学校等の別、1648カ所のゾーンで表示され、鉄道の乗降駅、時間も記録されている。まず、このデータを用いてまず接触回数を求め、実際の社会での接触がscale freeであるかどうかを検討する。新型インフルエンザの自然史、感染性を有する期間、無症候比率、無症候の場合の感染性、受診率は先行研究によった。感染性は家庭および社会での感染性がR0=1.5になるように調整した。シミュレーションは、海外での感染者が、感染3日後に帰国、八王子の自宅に帰宅後感染性を有するとした。職場は丸の内としてJR中央線で通勤するとした。 結果:無作為に抽出した638名で計測された社会,家庭,電車でのべき乗bはいずれの場合でも有意に正であった。感染者数は、最速で対応の意思決定がなされた場合の感染7日目で3032人と少ないものの、首都圏全域、特に鉄道沿線に拡散していることが明らかになった。 考察:本研究で示された実際の移動データを用いての数理モデルは、現実的な対策立案に活用できるモデルを提示できたと言えよう。今後、新型インフルエンザ対策のガイドライン策定においては有用なツールになると期待される。
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