2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590465
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Research Institution | Okinawa Christian University |
Principal Investigator |
近藤 功行 沖縄キリスト教学院大学, 人文学部, 教授 (70271426)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
安保 英勇 東北大学, 大学院・教育学研究科, 助教授 (50250650)
江崎 一朗 志學館大学, 法学部, 助教授 (30284467)
簗瀬 誠 鹿児島大学, 医学部, 教授 (40239819)
與古田 孝夫 琉球大学, 医学部, 教授 (80220557)
木ノ上 高章 東海大学, 医学部, 講師 (30234313)
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Keywords | 医療・福祉 / 精神障害者観 / 障害者雇用 / 厚生労働省 / 精神科病院 / 小規模作業所 / 障害者観 / 精神衛生学 |
Research Abstract |
通常、1年のうちで6月1日その日のデータでもって民間企業が障害者雇用を行っているかどうかの調査を実施している。この常用雇用率に関する調査において、3障害のうちでは、身体障害者と知的障害者のカウントで、精神障害者は入っていなかった。そのため、精神障害者が常用雇用率にカウントされることに関しては、旧労働省と旧厚生省の時代からその達成は悲願であった内容と考えられる。2006年6月1日からようやく、精神障害者のカウントが実施されることとなった。障害者の就労の側面、とりわけ精神障害者観を含めて考究した研究は筆者等の研究以外では未だみられない。そのため、研究代表者は奄美市(旧名瀬市)の精神障害者共同作業所明りの家(恵川龍一郎所長)で精神障害者と回復者の就労に関する調査研究に着手してきた。共同研究では、地域や医療また福祉従業者の「精神障害者観」が精神障害者の雇用に大きく反映するとの視点から、地域で就労また自立支援に取り組む小規模作業所明りの家に注目してきた。共同研究では昨年度に引き続き、臨床心理学、企業倫理(法学)、作業療法学(精神衛生分野に密に関連)、精神衛生学などの各専門分野の立場から、精神障害者と回復者の就労をめぐる状況また課題について調査研究を実施した。主要な研究対象とする明りの家では16人の回復者が通所し、公民館や教会と言った建物清掃の請け負い、スーパーのビラ配り、道路のり面へ奄美の自生植物を植栽する上での植物栽培、などを通じた職業訓練をしており、その現状を追った。鹿児島県はここ10年間、企業の障害者法定雇用率は全国上位に位置しており、今後、精神障害者の雇用を等閑にすれば、最後発の自治体にまわる可能性がある。世間への啓発が不十分な中、明りの家の存在は今後の重要なモデルになり得ると考えている。また、我々は奄美は地域ネットワークが強い分、精神障害者をはじき出す偏見も強いのではないかと言う点についても考究を試みた。地域で暮らすには雇用が大事であり、各地域の障害者観が問われると考えられる。精神障害者、回復者は外見では分かりにくく、企業が雇用しても社会イメージ向上につながりにくく、そのことが雇用の障害になっているとも考えられる。企業就労を模索するのではなく、福祉的就労の実施を目論む明りの家の訪問からは、精神障害者を取り巻く就労の将来を模索する新たな資料を蓄積することが出来た。
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Research Products
(3 results)