2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17590480
|
Research Institution | National Research Institute of Police Science |
Principal Investigator |
櫻田 宏一 科学警察研究所, 法科学第一部, 室長 (10334228)
|
Keywords | 2-PAM / AChE / ASCh / ACh |
Research Abstract |
有機合成したパム類似体の中からアセチルコリンエステラーゼ(AChE)再活性の程度が高い化合物を選択するために、従来からAChE活性測定法として知られているアセチルチオコリン(ASCh)を用いた方法によってその活性の測定を試みた。しかしながら、in vitroでVX類似体(ENMP)によって抑制されたAChE活性が2-PAM濃度依存的に復活するが、高濃度ではcontrol値をはるかに超えてしまい、ASChが2-PAMにより分解されている可能性が示唆された。そこで、ENMP及びAChEの関与なしに2-PAM濃度依存的な検討を行ったところ、2-PAMが容易にASChからコリンを産生させることが明らかとなった。また、その反応液をHPLCにより分析したところ、ASCh及び2-PAMの減少にともない、アセチル化された2-PAMが産生されていることが明らかとなった。そこで、他のオキシム類としてObidoxime及びDiacetylmonoximeについても同様に検討したところ、ObidoximeはASChを容易に分解し、Diacetylmonoximeもわずかに分解した。これらオキシム類の分解の強さは、これまで知られているそれぞれの解毒力の強さに比例していた。したがって、これまでこのAChE活性測定法を用いて報告された数多くのデータについては再検証の必要があることが示唆された。さらに、2-PAMがASCh同様にAChを分解するか否か検討を試みた。しかしながら、HPLC分析ではアセチル化された2-PAMは検出されなかった。これは加水分解のターゲット部位であるエーテル結合の窒素原子と酸素原子のイオン化エネルギーあるいは電気陰性度等の性質の違いによる結合の強さに起因しているものと推測された。
|