2005 Fiscal Year Annual Research Report
インテグリンを介した血小板活性化制御機構:血栓形成機序の解明
Project/Area Number |
17590708
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
江藤 浩之 東京大学, 医科学研究所, 助手 (50286986)
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Keywords | 血小板 / αIIbβ3 / 細胞骨格 / 動脈血栓 / アダプター分子 / Lnk |
Research Abstract |
血小板が動脈血流に抵抗し安定血栓を形成する上で、インテグリンαIIbβ3活性化後のアクチン再構成による細胞骨格変化は必須である。申請者はαIIbβ3活性化後のシグナルとして、Src,Syk,PKCが必須である事をそれぞれの遺伝子欠損マウスモデルの解析により明らかとしてきた。造血サイトカインシグナルを抑制的に制御するアダプター分子Lnkは、その欠損マウスにおいて血小板数の有意な上昇(約5倍)を認めるが、血栓性イベントを起こさない。その原因を検討するため、生体内動脈血栓形成機構にもっとも近いモデルであるコラーゲン固層化チャンバー上に抗凝固処理およびメパクリンで血小板標識した全血を流し、高ずり依存性の血栓形成を正常マウス、Lnk欠損マウスからの血液(血小板数調製済み)を用いて比較検討した。その結果、Lnk欠損血小板ではコラーゲン固層上1-2層の接着(2次元方向)は正常であるが、3次元方向に成長する3-4層以上の巨大血栓を形成できなかった。この原因としてαIIbβ3インテグリン依存性細胞骨格変化が不十分で葉状突起形成が特異的に阻害されることを明らかとした。インテグリン下流における細胞骨格へのシグナルはαIIbβ3に直接結合しているSrcの活性化状態に依存している。現在までにLnkはインテグリン依存性にSrcと複合体を形成する事で細胞骨格へのシグナルを正に制御している可能性が示唆されている。一方で、Lnkがトロンボポエチン受容体下流の増殖シグナルを抑制し巨核球分化成熟を抑制している機構が提案されたが(Tong W, Lodish H.J Exp Med,2004)、正常における血小板数産生の機序は未だ不明である。アクチン再構成を中心とする細胞骨格変化は血小板放出機構である胞体突起形成に必須であり、本研究は巨核球からの血小板放出機序を明らかにする可能性も期待される。
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Research Products
(3 results)
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[Journal Article] Endomucin, a CD34-like sialomucin, marks hematopoietic stem cells throughout development.2005
Author(s)
Matsubara A, Iwama A, Yamazaki S, Furuta C, Hirasawa R, Morita Y, Osawa M, Motohashi T, Eto K, Ema H, Kitamura T, Vestwever D, Nakauchi H
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Journal Title
J.Exp.Med. 202
Pages: 1483-1492