2005 Fiscal Year Annual Research Report
Contact Inhibition導入による悪性胸膜中皮腫の増殖制御の試み
Project/Area Number |
17590790
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
熊谷 融 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (80346212)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
吉田 光宏 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90359844)
木島 貴志 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (90372614)
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / 増殖停止機構 / EGFR / erbB2細胞外ドメイン / p21 |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫株OC-(MT)37にerbB2細胞外ドメインを導入したOC-(MT)37/Nex株を用いて、erbB2の細胞外ドメインの作用により高細胞密度状態で増殖停止機構が導入されるか解析を加えた。まず血清存在下に細胞培養を行い細胞数を定量することによってOC-(MT)37/Nexは細胞密度の上昇に伴い増殖停止するが、親株よりより低い細胞密度状態で増殖停止することを確認した。一方血清+EGF刺激下においてもOC-(MT)37/Nexに認められる高細胞密度状態での増殖停止機構は消失しないことを見い出した。位相差顕微鏡による形態学的観察においても親株のOC-(MT)37が重層して増殖するのに対し、OC-(MT)37/Nex株は単層状で増殖停止することを確認した。次に同細胞外ドメインで誘導された増殖停止機構をフローサイトメトリーを用いて確認した。OC-(MT)37およびOC-(MT)37/Nexを高細胞密度状態で無血清処理後、血清刺激を加、細胞周期を解析した。親株と比較して同細胞外ドメイン導入株では血清刺激後もG1周期に留まる細胞の割合が高かった。血清とEGF刺激を加えた場合にもG1周期に留まる細胞の割合は親株より高かった。以上より悪性胸膜集脾腫にerbB2細胞外ドメインを作用させることによって、高細胞密度状態での増殖停止機構を導入できることが判明した。この増殖停止機構がいかなる機構によってもたらされるのか細胞周期調節因子を解析した。親株OC-(MT)37と比較してerbB2細胞外ドメインを導入したOC-(MT)37/Nex株では高細胞密度状態においてp21の発現が誘導されており、同分子の発現を介して増殖停止機構が導入された可能性が示唆された。
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