2006 Fiscal Year Annual Research Report
HIF-1αの発現抑制による腎間質線維化の治療戦略
Project/Area Number |
17590839
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Research Institution | Nara Medical University |
Principal Investigator |
岩野 正之 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (20275324)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
斎藤 能彦 奈良県立医科大学, 医学部, 教授 (30250260)
赤井 靖宏 奈良県立医科大学, 医学部, 講師 (30326326)
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Keywords | 低酸素 / HIF-1α / EMT / FSP1 / YC-1 / 間質線維化 |
Research Abstract |
われわれは、間質線維化の進展に尿細管上皮細胞のfibroblast specific protein 1(FSP1)陽性線維芽細胞への形質変異(EMT)が重要な役割を果たすことを明らかにしている。また一方では、慢性虚血による尿細管上皮細胞の低酸素暴露が間質線維化の進展に関与すると考えられている。昨年度、われわれは低酸素応答で中心的な役割を果たすことが知られているhypoxia inducible factor-1α(HIF-1α)がEMTの強力な誘導因子であることを、初代近位尿細管上皮細胞を用いたin vitroの実験系で証明した。さらに、HIF-1α阻害薬であるYC-1にEMTの抑制効果があることをin vitroの実験系で示した。本年度は、Cre-loxPシステムを用いてHIF-1α遺伝子を尿細管上皮細胞特異的にターゲッティングした遺伝子改変マウスにおいて、間質線維化の進展が抑制し得るか否かを検討した。さらに、HIF-1α阻害薬であるYC-1が間質線維化を抑制し得るか否かを動物モデルを用いたin vivoの実験系で検討した。間質線維化のモデルには一側尿管閉塞(UUO)マウスを用いた。尿管閉塞後8日目のUUOマウスでは、HIF-1α遺伝子を尿細管上皮細胞特異的にターゲッティングすることで、FSP1陽性細胞数は有意に減少し、タイプ1コラーゲン染色で評価した間質線維化面積も有意に減少していた。また、尿管閉塞後、連日30μg/g・mouseのYC-1を腹腔内投与することで、尿管閉塞後8日目のUUOマウスにおけるFSP1陽性細胞数は有意に減少し、タイプ1コラーゲン染色で評価した間質線維化面積も有意に減少していた。以上の結果より、尿細管上皮細胞におけるHIF-1αの発現が間質線維化の進展に関与すること、およびHIF-1α阻害薬が間質線維化の新しい治療薬となる可能性が示された。
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Research Products
(1 results)