2006 Fiscal Year Annual Research Report
ヘッジホッグ高発現ヒト骨髄間質細胞を用いたCD34陰性幹細胞の体外増幅法の開発
Project/Area Number |
17591003
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Research Institution | Sapporo Medical University |
Principal Investigator |
小船 雅義 札幌医科大学, 医学部, 助手 (90336389)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
加藤 淳二 札幌医科大学, 医学部, 助教授 (20244345)
河野 豊 札幌医科大学, 医学部, 研究員 (80398320)
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Keywords | 臍帯血 / ストローマ / CXCR4 / CD34陰性細胞 / 造血幹細胞 |
Research Abstract |
本研究を施行するに当たって、昨年度までに、lineage(Lin)negative(-)/CD34-臍帯血の分離法を確立した。臍帯血をインフォームド・コンセントを得た後に採取し比重遠心法により単核球分離を行い、PE標識CD2、CD3、CD11b、CD14、CD15、CD16、CD19、CD56、CD123、CD235a(Lin-PE)およびCD34-PEで標識した後に、抗PE抗体マグネット・ビーズでnegative selectionを2回繰り返した。まず、ヒトストローマ細胞との共培養に用いるLin-CD34細胞数の至適量を決定したところ、Lin-CD341-細胞500,000個を2週間共培養した際に、最も高率にCD34陽性細胞が誘導されることが明らかとなった。2週間の共培養後の総細胞数は685±94(x10^3)に過ぎなかったが、156±16(x10^3)のCD34陽性細胞が認められた。また、CFU-Cは共培養前の0.7土0.2(x10^3)から120±35(x10^3)まで著増し、CFU-Mixは共培養前の50±41から6513±3791まで著増した。すなわちLin-CD34-細胞をヒトストローマ細胞と共培養することにより、CD34陽性細胞が誘導できるとともに、未分化コロニー形成細胞数を効率的に増幅し得ることが明らかとなった。また、ヒトストローマ細胞とLin-CD34細胞を共培養することで、CD34のみならずCXCR4が発現してくることが明らかとなった。さらに共培養後の造血細胞をCD34陽性分画と陰性分画に分けて解析した結果、CD34陽性分画にほとんどの未分化コロニー形成細胞が存在していることが確認された。つぎに、造血幹細胞分画について、NOD/SCID/IL2R_chain nullマウスを用いて検討をおこなった。まず、共培養前および共培養後の2_10^6の造血細胞をCFSEで蛍光標識し、マウスのtail veinから静注した24時間後に、骨髄へのhomingが認められるか否か検討した。その結果、共培養前のLin-CD34-細胞を移植した際には全くヒト造血細胞が検出きれなかったのにも係わらず、共培養後の造血細胞を移植した場合には約2.5-3.0%のヒト造血細胞がマウス骨髄に検出された。さらに、このヒト造血細胞のhomingはマウスおよび移植造血細胞を抗CXCR4中和抗体で処理することで激減することから、共培養後の造血細胞におけるCXCR4の発現より制御されている可能性が推定された。つぎに、共培養前および共培養後の造血細胞を移植した際に骨髄再建が認められるか検討した。共培養前のLin-CD34-細胞を移植した場合には全く骨髄再建が認められなかったのにも係わらず、共培養後のLin-CD34-細胞を移植した場合には、24週でCD33陽性細胞およびCD19陽性細胞が多数検出され、少量ながらCD3陽性細胞が検出された。さらに骨髄および脾臓の解析でNK細胞が検出された他、T細胞のprecursor細胞が認められた。また、B細胞は脾臓においてIgM発現細胞までの分化が検出された。すなわちヒトストローマ細胞とLin-CD34-細胞を共培養することは、造血前駆細胞を増幅するのみならず、造血幹細胞の生着を促進することが明らかとなった。現在、ヒトストローマ細胞との共培養時にLin-CD34細胞にCXCR4が発現する分子機構の詳細を解析中である。
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Research Products
(4 results)