2005 Fiscal Year Annual Research Report
エイズ脳症の発症機序とアポトーシス抑制因子14-3-3を軸としたその治療法の研究
Project/Area Number |
17591044
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
矢野 仁康 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 助教授 (40304555)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木戸 博 徳島大学, 分子酵素学研究センター, 教授 (50144978)
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Keywords | エイズ脳症 / 14-3-3蛋白質 / 神経細胞死 / 血液脳関門 |
Research Abstract |
エイズ脳症は、脳内に侵入したウイルス感染マクロファージ等の炎症性細胞から遊離されるウイルス蛋白やサイトカインによって引き起こされる神経細胞死がその主な原因と考えられるが、その発症メカニズムについては未だ解明されていない。我々は足場蛋白である14-3-3が1)エイズ脳症初期患者脳の神経細胞内でその発現が増強する事、2)脳症の進行に伴い神経細胞が破壊されると脳脊髄液中に漏出してくる事からエイズ脳症発症機序におけるその重要性に着目してきた。エイズ脳症の神経細胞死では膜蛋白gp120が有力な誘導物質と考えられる事から、gp120によるCXCR4を介したアポトーシス誘導機序とその過程に係る14-3-3蛋白質の役割に焦点を絞り解析を行った。今回我々の研究から、14-3-3蛋白質は、細胞死誘導因子Badのgp120による脱リン酸化を防ぐ事で、Badのミトコンドリア移行を抑制しgp120による細胞死を抑制的に制御している事が明らかとなった。一方、ウイルスの脳内進入において血液脳関門(BBB)は極めて重要な意義を持っている。そこで本研究では、gp120によるBBBの破綻を想定し、ヒト脳血管内皮細胞を用いそのタイトジャンクション構築における14-3-3蛋白質の役割を解析した。その結果、gp120は細胞極性因子Par-PKC複合体から14-3-3蛋白質の遊離を促進する事でZO-1等タイトジャンクション構成分子のプロテアソームによる分解消失を促進し、これにより、細胞接着構造にひずみをきたしBBBの破綻に繋がる事が予想された。これらの結果は、14-3-3蛋白質がHIV感染(gp120依存的)による神経細胞死においてより包括的にその制御を担っている事を示唆すると共に、エイズ脳症発症の機所解明の手掛りを与えるものになると考えられた。
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Research Products
(2 results)