2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17591218
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
鬼塚 俊明 九州大学, 大学病院, 助手 (00398059)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神庭 重信 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (50195187)
黒木 俊秀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教授 (60215093)
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Keywords | 精神疾患 / 統合失調症 / 脳磁図 / 声認知 / 顔認知 |
Research Abstract |
(1)声に対する聴覚誘発反応 a)正常者の声に対する感覚フィルタリング機構について ヒトの声は社会生活において重要な聴覚情報であると考えられる。我々はヒトの声を連発刺激として用い、刺激後約50ms、100ms付近の聴覚誘発磁場(P50m,N100m)を記録し、声に対する健常者の感覚フィルタリング機構について検索した。健常者17人(男性9名、女性8名、平均27.9±4.8歳)に対して声刺激を呈示した。刺激として声刺激(母音「ア」、持続200ms、音圧60 dB SPL)を用い、2連発刺激を1セットとし、左右両側各120セット呈示し、左右両側聴覚野での聴覚刺激に対する誘発磁場反応を37チャンネルSQUID装置にて記録した。両側半球ともに、1発目に比べ2発目の声に対するN100m、P50mの振幅は有意に抑制されるという結果が得られた。また、N100mのほうがP50mに比べ有意に強く抑制されていた。本研究にて、声に対しても非言語音と同様に、連発刺激によるP50mの振幅の抑制が認められた。社会生活のうえで重要な情報であるヒトの声に対しても感覚フィルタリング機構が存在することが示唆された。本研究を平成17年12月1日、第35回日本臨床神経生理学術大会にて発表した。 b)統合失調症者の声に対する感覚フィルタリング機構について a)の項で述べた条件で、統合失調症者16名(男性13名、女性3名、平均38.9±11.9歳)の聴覚誘発反応を記録し、更に年齢をマッチさせるため正常対照者4名を被験者として追加した。現在慎重に解析中であるが、両側半球ともに、2発目の声に対するN100m、P50mの抑制度は統合失調症者では小さい(声に対する聴覚抑制機構の障害がある)傾向が認められるようである。 (2)顔認知時の後頭葉における脳血流変化-NIRSを用いた研究- NIRS(近赤外線を用いた酸素モニタ)を用いて4名の健常者に顔、車の写真を呈示し、後頭葉における脳血流の変化を測定した。顔刺激は社会生活において重要なため、車に比べ顔を見たときに有意に脳血流が増加するという仮説を立てて研究を行った。しかしながら、その変化を捉えることは困難であった。1)脳血流の変化は僅かで現有のNIRSでは感度が不足し検出困難、2)後頭部は毛髪が多いため技術的に測定が困難、などの理由が考えられた。このため、先行研究で、比較的顔認知に特異的な脳反応を捉えることのできる脳波(誘発電位)にて測定を行うよう研究デザインを変更した。本研究では、現有の脳波計を用いるが、顔認知反応を密に記録できるよう特注キャップ(含電極)を購入した。平成18年度に本研究を(1)の研究と並行して進める。
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Research Products
(2 results)