2005 Fiscal Year Annual Research Report
アディポサイトカインによる乳癌の治療法および予防法の開発
Project/Area Number |
17591332
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
三好 康雄 大阪大学, 医学系研究科, 助手 (50283784)
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Keywords | アディポネクチン / レプチン / 乳癌 / 易罹患性 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の通りである。 1)乳癌細胞株、乳癌組織におけるアディポネクチンおよびアディポネクチン受容体発現の検討 ヒト乳癌細胞株(MCF-7、T47D、SKBR3、MDAMB231)、正常乳腺細胞株(HMEC)、およびlaser microdissection法で採取した乳癌組織、正常乳腺組織、間質細胞、さらに脂肪組織を対象に、アディポネクチンmRNAの発現を半定量的PCR法で解析した。その結果、乳癌細胞株、正常乳腺細胞株、乳癌組織、正常乳腺組織、間質細胞いずれにおいてもアディポネクチンの発現は認められず、脂肪組織においてのみ発現していた。一方、アディポネクチシ受容体(R1、R2)のmRNA発現量を半定量的に検索した結果、R1は乳癌細胞株、正常乳腺細胞株、乳癌組織、正常乳腺組織、間質細胞すべてにおいて発現していた。一方R2の発現に関しては、乳癌細胞株、正常乳腺細胞株、正常乳腺組織および乳癌組織(6例中5例)ではmRNAの発現が認められたが、間質細胞では発現していなかった。また定量的解析により、レセプターの発現量と乳癌の臨床病理学的特長(閉経状況、腫瘍径、リンパ節転移、組織学的異型度、ホルモン受容体)との相関はみられなかった。 2)血清レプチンレベルと乳癌の易罹患性の検討 乳癌患者、健常女性それぞれ104人を対象にケース・コントロール解析を行った。血清中のレプチンレベルをELISA法で測定した結果、それぞれ9.52±0.90ng/ml(平均±標準誤差)、10.86±0.89ng/mlであり、有意差は認められなかった。さらにロジステック解析によりレプチンの血清レベルと乳癌の易罹患性を検討したが、有意な相関は認められなかった。 血清アディポネクチンレベルが低い女性は、乳癌の易罹患性が上昇することはすでに明らかにしているが、今回の結果から血清レプチンレベルは乳癌の易罹患性には影響しないと考えられた。そして、正常乳腺細胞、乳癌細胞でアディポネクチンの受容体の発現が認められたことより、脂肪細胞で産生されたアディポネクチンが血流を介して、正常乳腺細胞および乳癌細胞の増殖を制御している可能性が示唆された。以上の結果より、アディポネクチンは正常乳腺細胞や乳癌細胞の増殖に抑制的に作用しているメカニズムが推測された。
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Research Products
(2 results)