2006 Fiscal Year Annual Research Report
温度感受性イオンチャンネルのCRPSの病態メカニズムにおける役割
Project/Area Number |
17591654
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Research Institution | Hyogo College of Medicine |
Principal Investigator |
福岡 哲男 兵庫医科大学, 医学部, 非常勤講師 (90399147)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 浩一 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (70368538)
戴 毅 兵庫医科大学, 医学部, 講師 (20330441)
野口 光一 兵庫医科大学, 医学部, 教授 (10212127)
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Keywords | TRP / DRG / neuropathic pain / spinal cord / P2Y / Src / MAPK / p75 |
Research Abstract |
我々はこれまでに神経因性疼痛モデルの一つL5脊髄神経結紮モデル(Chung model)においては直接障害を受けていないL4DRGにおいて、知覚過敏を起こすいくつかの遺伝子変化が起きていることを報告してきた。今回も同モデルを用いて術後冷知覚過敏が生じることを確認した上で、L4DRGにおけるTRPA1とTRPM8のmRNA発現を調べたところ、前者のみが増加しており、更に両者に対するAntisense oligonucleotideをクモ膜下投与したところ、TRPA1のブロックでのみ、この冷知覚過敏が抑制できたことから、この神経因性疹痛モデルにおいては、L4DRGにおけるTRPA1の発現増加が病因となっていることが分かった。これは先に発表した炎症モデルでも同様であることから、病的状態における冷知覚過敏とTRPA1の関係を強く示唆する結果であった。 一方、我々はラットの後足に様々な刺激を与えると、その刺激に特異的に反応するニューロンにおいて、細胞内リン酸化カスケードが活性化することを之までに報告している。この手法を用いて、正常ラットに冷刺激を与えたところ、TRPA1を持つニューロンでは主にERKが、TRPM8を持つニューロンでは主にp38がリン酸化されることが分かった。つまり、両TRPは正常状態では何れも冷知覚transducerとして働いている可能性があるが、その細胞内伝達機構は異なっているらしい。以上で当初の本研究の目的は全て達成された。 これらの研究に派生して、Chung modelのL4DRGにおけるp75やBDNFをブロックすることで、異常痙痛行動がブロックできること、さらに脊髄microgliaでのSrc-family kinaseの活性化も痛みに関係していること、DRGと脊髄におけるP2Yレセプターの詳細な分布など、今回のテーマの周辺領域でも優れた成果を挙げることができた。
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Research Products
(8 results)