2005 Fiscal Year Annual Research Report
ミトコンドリア遺伝子変異に伴う難聴の日本人特異的遺伝因子の解明
Project/Area Number |
17591813
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Research Institution | 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター) |
Principal Investigator |
松永 達雄 独立行政法人国立病院機構(東京医療センター臨床研究センター), 聴覚障害研究室, 室長 (90245580)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
神谷 和作 , 研究員 (10374159)
藤波 義明 , 研究員 (80392801)
務台 英樹 , 研究員
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Keywords | ミトコンドリア / 遺伝性難聴 / SNP |
Research Abstract |
これまでに難聴をきたすミトコンドリアDNAの遺伝子変異が数多く報告されているが、これまでに日本人の難聴者における本遺伝子変異が全体としてどの程度関与するかは不明であった。ミトコンドリアDNAの遺伝子変異による難聴は、難聴のみを生じる非症候群性難聴と難聴以外の症状を生じる症候群性難聴に大別される。本研究では、日本人の原因不明の非症候群性難聴者(先天性/小児の難聴者53人、後天性の難聴者76人)のDNA検体を用いて、ミトコンドリアDNAの遺伝子変異のスクリーニングをdHPLC法を応用した解析システムおよび直接シークエンス法で実施した。先天性難聴の原因として頻度の高いコネキシン26遺伝子変異のスクリーニングを事前に実施し、本変異を有する症例を事前に除外した。見つかった変異は、各種のミトコンドリアゲノムデータベース(MITOMAP、GIIB JST mtSNP等)のシークエンスと比較検討を行った。多コピーのミトコンドリアDNAには、変異が生じた場合にミトコンドリア遺伝子が均一な状態であるhomoplasmyと異なった配列が混在するheteroplasmyの2種類の状態がある。まずhomoplasmy変異に関しての解析の結果、特許準備のため遺伝子名は記せないがこれまでに既に海外で報告されている複数の変異が、日本人原因不明難聴者(先天性/後天性)の先天性/小児の難聴53人でのべ12人、後天性の難聴76人でのべ9人で変異が検出された。さらに新規の変異も同定されており、これに対しては今後日本人の健聴者での検討を行いその病的意義の解明を進める。heteroplasmy変異に関しては、やはりこれまでに既に海外で報告されている複数の領域で先天性/小児の難聴53人でのべ8人、後天性の難聴76人でのべ9人で変異が検出された。こちらに関しては変異部位と変異率の解析を現在実施中である。現在さらに今回未検討のミトコンドリア遺伝子領域についても網羅的にスクリーニング中である。以上の結果は、ミトコンドリア遺伝子の変異全体が日本人の難聴の原因に大きく関与することを示すものである。
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Research Products
(3 results)